セレブコラム
2017/11/11(土)
立田敦子のセレブBUZZ/『エンドレス・ポエトリー』『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』

カルト界の巨匠ポドロフスキーと気鋭ラライン。チリのふたりの映像詩人の新作が日本で公開!

『スターウォーズ』や『エイリアン』、『ブレードランナー』など多くの名SF映画に多大な影響を与え、88歳今も尚カルト映画界の巨匠として活躍している監督、アレハンドロ・ホドロフスキーと『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』では、ハリウッドにも進出した気鋭パブロ・ラライン。2016年カンヌの監督週間にも揃ってノミネートされた2人の最新作を立田敦子さんが解説。

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ガエル・ガルシア・ベルナルも出演した『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』

『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』(16年)は、ノーベル文学賞を受賞したチリの国民的詩人パブロ・ネルーダを題材にした作品だ。

外交官、政治家でもあったネルーダは、赴任中に目の当たりにしたスペイン内戦の影響から共産主義に傾倒。帰国後、上院議員になり共産党に入党した。だが、1948年、ピデラ政権によって共産主義者が迫害されると国外に脱出した。アカデミー賞5部門にノミネートされたイタリア映画『イル・ポスティーノ』(94年)は、イタリアに亡命中のネルーダと郵便配達の青年との交流を描いたヒューマンドラマだったが、この『ネルーダ〜』は、まだヨーロッパへ渡る前、チリ国内で逃亡生活を送るネルーダの1年に迫る。

逃げる身でありながら、女性も音楽も酒もやめず大らかに人生を楽しむ詩人と、彼を執拗に追いつめる警官ペルショノーとのサスペンスフルな追跡劇だ。監督は、ナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞候補になった『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』(16年)でハリウッドにも進出した気鋭パブロ・ラライン。監督自身が明言しているように、ペルショノーは架空の人物であり、ときに幻想的に語られる物語は、通常の伝記映画とは一線を画するものだ。『ジャッキー〜』がそうであったように、ネルーダの人生をなぞるのではなく、ある種、ネルーダの「本質」を見せることこそこの映画の目的である。

ネルーダを演じるのは、チリの人気ベテラン俳優ルイス・ニェッコ。ペルショノーを演じるのは、メキシコ出身のスター俳優ガエル・ガルシア・ベルナル。実際に、ネルーダを追いかけながら、自分を見つめ直し、葛藤し、さらに敵であるネルーダの不思議な魅力に惹かれていく、警官の姿は人間的で主演に匹敵するほどの存在感がある。

1948年の逃亡生活は、ネルーダの代表作となる「大いなる歌」の創作に大きく影響を与えたというが、ペルショノーと同様に、この映画を観てネルーダのダイナミズムに感銘を受けずにはいられない。

  • 『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』
    監督/パブロ・ラライン
    出演/ルイス・ニェッコ、ガエル・ガルシア・ベルナル
    配給/  東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
    公式サイト/http://neruda-movie.jp/
    公開中

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Text: Atsuko Tatsuta 

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