フィンランド流、“究極のシンプルライフ”映画のすすめ
失恋を機に、モノに囲まれた生活を一変させた26歳の青年の姿を追ったドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』。青年がモノを手放して手に入れたものとは? フィンランド発の実験作にご注目あれ!
自分にとって本当に必要なものとは?
こういう実験タイプのドキュメンタリーは、筋書きがないのが面白いところ。なので、観る側も青年ペトリの奮闘ぶりを楽しんでもらいたいので、あえてストーリーは明かさないことにします。
が、先日、監督が来日したので、そのときにこの体験を経て、どう人生が変わったのかを質問してみた。その答えは以下の通り。
「買うこと、消費すること、所有することに対する考え方が大きく変わりました。みんなそうだと思いますが、育った環境でそういう習慣は身について、つまり、どう消費し、何を買うか、いらなくなった後、何をどうするか、といったことを知らず知らずのうちに学んでいます。そういうすべての習慣をいったんゼロにして、全部捨ててゼロから学び直したことで、モノについての考え方、モノを所有することの責任など、すべてが変わりました。
それから、モノを所有することや、買うことはものすごくエネルギーを消耗することでもあると気づきました。たとえばテレビや車など、買ったあとのメンテナンス、つまり車は車検が必要だったり、洗車もしなくてはならない。いろいろ壊れたら修理も必要で、すべてのモノは、食器ならば洗って収納しなくてはいけません。新しいモノが来たときにどうしよう、どこへ入れよう、とか、すべてひっくるめて、気づかないうちにモノにエネルギーをつかっている。そういうわけで、何が自分にとって本当に必要なのか、どういうことにエネルギーをつかう価値があるのかということを考えるようになりました。
モノから始まったプロジェクトだけれど、最終的には人がいちばん重要だと、自分のまわりにいる人たちに、いろいろな意味で感謝をしています。その人たちに囲まれている幸せを感じたり、どんなにモノがたくさんあっても大事な人が周りにいない人生と、モノはないけれど大事な人が周りにいる人生と、どっちが大事かということもわかるようになりました」
私は、最近、引っ越しをして大がかりな断捨離をしたばかりだったので、痛いほど共感しましたが、あなたも、この映画を観たら価値観が変わるかもしれません!
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『365日のシンプルライフ』
監督・脚本・出演/ペトリ・ルーッカイネン
配給/パンドラ、kinologue
公式サイト/http://www.365simple.net/
2014年8月16日(土)~、オーディトリウム渋谷ほか全国順次ロードショー
(C)Unikino 2013
text : Atsuko Tatsuta