女優魂が光る! ジャン=マルク・ヴァレ監督の新作2本に注目
昨年は、『ダラス・バイヤーズクラブ』でマシュー・マコノヒーがアカデミー賞主演男優賞を受賞したジャン=マルク・ヴァレ監督。俳優の隠れた資質を引き出す名手、ヴァレ監督の新作は、ヴァネッサ・パラディ主演の『カフェ・ド・フロール』と、リース・ウィザースプーン主演の『ワイルド(原題)』。女優魂を突き付けられる2作品をお見逃しなく!
2年連続で主演俳優がオスカー候補に
かつてはアクションスターだったマシュー・マコノヒーが21kg減量して挑み、見事、第86回アカデミー賞主演男優賞を獲得した『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレは、俳優の隠れた資質を引き出す才能に恵まれた監督といえるだろう。今年の第87回アカデミー賞では、彼の最新作『ワイルド(原題)』でリース・ウィザースプーンが主演女優賞にノミネートされた。
実在するシェリル・ストレイドの自叙伝を映画化したこの作品は、結婚生活の破綻や母の死、薬物中毒などで破滅しかけたシェリルが、1600kmに及ぶパシフィック・クレスト・トレイル(米国の三大長距離自然歩道のひとつ)を歩き切ることで、人生を再生させていくという物語だ。文字通り、“ワイルド”なセックスシーンを含む体当たり演技で女優魂を見せるリースだが、映画自体は、大自然のなかで自分と向き合うことで、自らの弱さを克服していく過程を丁寧に描く、とても内省的な作品で、このあたりの上手さがヴァレの魅力といえる。
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『ワイルド(原題)』
監督/ジャン=マルク・ヴァレ
出演/リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン
配給/20世紀フォックス映画
2015年夏、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
text : Atsuko Tatsuta