200年を経ても色褪せない物語

18歳で愛を知らぬまま嫁いだ女が、本当の愛に目覚めてしまった。その愛に正直に生きたアンナに誰が審判を下せるのか。愚かであろうとも、人間たるもの誰もアンナを非難することはできない、というのがトルストイ先生のいわんとすることだろうけれど、それこそ200年を経てもまだこの物語が色褪せない理由だろう。
 
21世紀版の映画化にチャレンジしたのは、ジョー・ライト監督×キーラ・ナイトレイ。『プライドと偏見』、『つぐない』、またシャネルの香水「ココ マドモアゼル」のCFでも組んでいる英国のゴールデン・コンビだ。ホンネと建前、嫉妬、虚栄などが渦巻く貴族社会を“舞台”になぞらえたライト監督は、壮麗で舞台的なセットを組み、この悲劇的なドラマを劇的に見せている。