愛する人と人生を分かち合うことの豊かさ

ここ数年、“女優映画”が少ないと言われ続けてきたけれど、この秋は、人気女優が主演を張る女たちのドラマが熱くなりそうだ。
 
『アデライン、100年目の恋』は、ブレイク・ライブリーが“年をとらない女性”を演じる恋愛ドラマ。ある事故がきっかけで年をとらなくなったアデライン。いくつになっても若さも美貌もそのまま。それって全女性の夢のように思うけれど、果たしてヒロインはむしろ“年をとらないこと”に悩み続けながら生きている。友人や恋人、そして娘さえも自分よりも老いていく。自分だけが取り残され、また、新しい人間関係を築かなければならない。逃げるように街を転々とする生活は、まるで逃亡者のそれだ。失うことを恐れて、恋愛からも距離をおいてしまう。けれど、そんなアデラインが本物の恋に落ちてしまったとき、また、運命が回り出す……。
 
とかく若さと美しさを信奉しがちだが、愛する人たちと共に“老いていく”ことの豊かさをこの映画は教えてくれる。生きている限り美しく魅力的でありたいと思う女心を否定するわけじゃないが、人生を誰かと分かち合うことは、それ以上に価値があるものというだけだ。
 
「グッチ」の衣装を着こなした今年28歳の旬の女優は、咲き誇る大輪のバラのようで、限りなく美しい。でも、年を重ねることで、さらに美しい人生を得ることができるだろう。
 
去年12月にライアン・レイノルズとの間に第一子が誕生したばかりのブレイク。ファッショニスタとして注目を浴びているが、実生活では地に足のついた女性としても評価が高い。