特集(エディターズPICK)
2016/03/03(木)

気付かないうちに老化が加速!? "くすぶり炎症"注意報

近年、化粧品の分野でも研究者たちが着目する「炎症」。炎症そのものは新しい発見ではないけれど、身体や皮膚の内部に火がくすぶるような弱い炎症が起こり慢性化すると、肥満や肌老化、様々な体調不良の原因になることがわかってきた。しかもこの"くすぶり炎症"は、痛くも痒くもなく、気が付かないというからやっかい。日常生活でできる対処法を、腸と肌、ふたりのエキスパートが指南する。

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冷え、朝食抜き、ストレス……。日常に潜む炎症の原因

慢性炎症の原因になる停滞腸の原因は、ずばり生活習慣。食生活の偏り、無理なダイエット、運動・睡眠不足、冷え、ストレスなどが絡み合っている。なかでも松生先生は近年の傾向として、過度な炭水化物抜きと朝食抜きを指摘。「流行している炭水化物抜きダイエットは、糖質だけでなく食物繊維を不足させ腸内環境を悪化させるおそれがあります。私は朝食は食べるべきだと思っています。なぜなら朝食は強いぜん動運動を起こし、排泄を促す大切なスイッチだからです。目覚めてすぐ、コップ1杯の水で便に適度な水分を与えて柔らかくし、ぜん動運動が始まる食後1時間にお手洗いに行ける環境ならなおよいです」(松生先生)。食べてすぐ、とはいかないと聞いても、くじけないで。老廃物の排出割合は便が75%、尿が20%、汗が3%。“汗をかくより、便を出せ”なのだ。
 
食事で「抗炎症」するなら、油にこだわるべし
 
3大栄養素(脂質・たんぱく質・炭水化物)のルールから外れた健康法やダイエット情報があふれていることにも、松生先生は警鐘を鳴らす。「情報に惑わされて極端な行動をせずにバランスよく食べることは生きるための基本であるといえます。野菜を中心にした食事は体によいことですが、適量な脂質もエネルギー源となって体を機能させるには不可欠。」(松生先生)
 
「体内で起こる酸化も一種の炎症。そこで抗炎症、体内のエイジングケアの視点からも意識すべきは、油の質です。抗酸化成分を4つも含むエキストラ・バージン・オリーブオイルは、便秘の改善にも効果的。私が長年に渡ってすすめている脂質です。パンにスプーン1〜2杯の量をつけて食べることから始めてみてください。α-リノレン酸(オメガ3)系のえごまやしそ油もいいのですが、酸化が早いという性質があります。"くすぶり"に火をつけるので極力酸化させないようにして注意してください」(松生先生)

photo : Getty Images, text : Motoko Nomura

  • お話を伺った先生
     
    松生恒夫先生/松生クリニック院長 
    東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院、松島病院などを経て2004年に開業した立川市の松生クリニックでは、国内では珍しい便秘外来を設置。便秘解消法・大腸内視鏡検査のスーパードクターとして知られる。薬に頼らないオリーブオイルを取り入れた地中海式食生活なども提案。『朝の腸内リセットがカラダを変える』『見た目は腸が決める』など、著書は100冊を超える。
     
    亀山孝一郎先生/青山ヒフ科クリニック院長 
    北里大学医学部卒業後、北里大学皮膚科を経て米国立保健衛生研究所でメラニンの産生について研究を行う。世界に先駆けて「ビタミンCのニキビに対する効果」と題した論文を発表するなど、ビタミンCとニキビ、オイリー肌との関係を分析。ビタミンC療法の第一人者として知られ、2002年には最先端の皮膚化学と化粧品科学を融合したオリジナル化粧品「ドクターケイ」を発表。

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