気付かないうちに老化が加速!? "くすぶり炎症"注意報
近年、化粧品の分野でも研究者たちが着目する「炎症」。炎症そのものは新しい発見ではないけれど、身体や皮膚の内部に火がくすぶるような弱い炎症が起こり慢性化すると、肥満や肌老化、様々な体調不良の原因になることがわかってきた。しかもこの"くすぶり炎症"は、痛くも痒くもなく、気が付かないというからやっかい。日常生活でできる対処法を、腸と肌、ふたりのエキスパートが指南する。
最後の臓器と呼ばれる肌が背負う、老化の宿命
「皮膚科学の観点からみて目に見える2大炎症は、ニキビとアトピー。炎症は生体の防御反応ですから、ニキビ跡もアトピー肌の黒ずみも肌を守ろうと頑張った結果です。また肌は、表皮細胞の中で微細な炎症が起こっている可能性があります。微細な炎症はターンオーバーを乱し、肌荒れを起こしたり、活性酸素を発生させて老化を早めることがわかってきました。自覚症状がないままいつのまにか現れるシミ、シワ、色むら、たるみなどの現れです。黄ぐすみを招く糖化も炎症のなれの果て。炎症は免疫細胞によって引き起こされると言われています」。そう話すのは、青山ヒフ科クリニック院長の亀山孝一郎先生。「しかし、皮膚は切ってもまた元に戻れるほどタフなので、生体にとっては後回しの存在。最後の臓器とも呼ばれ、食事やサプリメントで栄養を摂取しても、他の臓器に先に分配されてしまうのが皮膚の宿命なんです。ストレスがあれば目や脳や筋肉が優先され、皮膚には血液が届きにくくなります」(亀山先生)
ストレス過多だと、ビタミンCが肌に届かない!?
多くの人の肌を診てきた経験から、強度のストレスを感じていたり、栄養が足りていない人の肌はシワっぽく、ハリやツヤも失われがちだと語る亀山先生。「強いストレスがあるとビタミンCやBの消費量が増えるのは知られていることですが、ビタミンCは肌に届きにくくなることもわかっています。ストレス社会にあって、スキンケアでビタミンCを補うことは理に叶っているんです。さらにビタミンCとBは心身ともにリラックスに必要なビタミン。仕事のストレスなどでビタミンが欠乏している可能性のある人は、入浴前にビタミンCとBのサプリメントを摂ってみてください。入浴中のリラックス度の違いは明らかなはず! ストレスが少なければ角層も厚くなり、水分を十分に蓄えられますよ」(亀山先生)
photo : Getty Images, text : Motoko Nomura
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お話を伺った先生
松生恒夫先生/松生クリニック院長
東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院、松島病院などを経て2004年に開業した立川市の松生クリニックでは、国内では珍しい便秘外来を設置。便秘解消法・大腸内視鏡検査のスーパードクターとして知られる。薬に頼らないオリーブオイルを取り入れた地中海式食生活なども提案。『朝の腸内リセットがカラダを変える』『見た目は腸が決める』など、著書は100冊を超える。
亀山孝一郎先生/青山ヒフ科クリニック院長
北里大学医学部卒業後、北里大学皮膚科を経て米国立保健衛生研究所でメラニンの産生について研究を行う。世界に先駆けて「ビタミンCのニキビに対する効果」と題した論文を発表するなど、ビタミンCとニキビ、オイリー肌との関係を分析。ビタミンC療法の第一人者として知られ、2002年には最先端の皮膚化学と化粧品科学を融合したオリジナル化粧品「ドクターケイ」を発表。