日本のフランス料理を代表する「シェ・イノ」の井上旭さん、「ギンザトトキ」の十時亨さんなど、歴代料理長にはそうそうたる名前が連なる。親子3代で通うゲストがいるのも、積み重ねた歴史ゆえ。創業当初とほぼ変わらない重厚感あふれる設えが、このうえない高揚感を演出する。現在6代目の料理長を務める高良康之シェフにとってもこの店は眩い存在だった。「18歳の頃、入り口に飾られているメニューを一生懸命メモしたのを覚えています。レストランは予約の電話からドキドキするような場所でありたいですね」。座右の銘は「Cuisine civilisée（丁寧に仕立てた料理）」。クラシカルでありながら、新たな驚きと感動を与えるメニューでもてなす。

この店を絶賛してやまないのは「アムール」シェフの後藤祐輔さん。「20歳から4年間勤めた店。空間、食材、道具など、すべてが最上級と呼べるなかで、自ずと“ガストロノミー”の世界で生きることを心に決めました。非日常間あふれる豪華な店内や、キャビアを惜しげもなく供するメニューに驚いたのを覚えています」と当時を振り返る。