特集 2015/12/1(火)
【連載】大人のグルメ・トリップ

日本のビール発祥の地、横浜でクラフトビール巡りはいかが?【前篇】

日本ではじめてビールが醸造されたと言われる街、横浜。なかでも、クラフトビール激戦区といわれるJR根岸線関内駅エリアを中心に、ビール三昧の1 dayグルメトリップを敢行! お出かけ日和のこの時期にぴったりの飲み歩きツアーを、週末日帰り旅の参考にしてみて。まずは、ビールの作り方や歴史など基礎も学べる、キリンビールの工場見学からスタート!

京浜急行線生麦駅から徒歩5分の場所にある「キリンビール横浜工場」。ここには、1日約1000人も訪れるという人気の工場見学ツアーがある。キリンビールを代表する銘柄「一番搾り」の作り方を通して、日本のビールの基本的な製法を学べるツアーだ。10時から17時まで15分間隔で行われるこのツアーは、20人ほどの定員だが、連日朝から満員だそう。しかも年配の女性や子供連れのゲストも多く、初心者も大歓迎というムード。
まずは、ビールの泡を模した廊下を経由して、工場長の勝間田達広さんの挨拶と醸造の哲学をまとめたムービーを鑑賞。ビールの基本原料は、水、モルト、ホップ、酵母の4つのみで、素材の違いやブレンドの仕方によって味が変わる。キリンビールは、大麦を自社精麦してモルトを作る日本で唯一の醸造所だそうだ。そのモルトを試食してみると、はじめは香ばしさが口のなかに広がり、噛んでいくと甘みがぐぐっと増してくる。その糖分が酵母と結びついてアルコールと炭酸になるわけだが、発酵プロセスの一部を身をもって感じられる貴重な体験だった。その後、いくつもの大きな釜が見下ろせる仕込み室へ。一番大きいものは直径12m、深さ7mもあり、この釜で約11時間をかけてモルトを煮出し、麦汁をつくるのだそう。煮汁を最初にろ過する(搾る)ときにでる麦汁が一番搾りと呼ばれ、その後に水を加えてろ過し直した麦汁を二番絞りと呼ぶ。この二番麦汁には苦味が出るので、一番麦汁のみを使うことですっきりとした仕上がりになるという。テイスティングで一番麦汁と二番麦汁を比べでみると、香りや色合いがまったく違い、二番の方はさらっとした甘さのフレーバーウォーターのような味わいであるのに対し、一番は、甘い香りが強く、味も濃厚な甘さが感じられた。

写真左上から時計回りで、ホップとモルト、仕込み室、一番搾り製法の図解、一番搾り麦汁(手前)と二番搾り麦汁(奥)のテイスティング、タンク模型。

その後、酵母とあわせて発酵、そして熟成させるために20mの高さのタンクへ移される。ちなみに、このタンクひとつで148万本の缶ビールができるそう。1日1本毎日飲んだとしても、4000年かかるほどの量だ! そんな巨大なタンクが工場内に129本もあり、横浜工場だけで1日2310キロリットル(缶ビール660万本)を毎日作っている。次に、缶のパッケージングでは、ビールが酸素に触れないように配慮されながらパッケージされている模様を見学。1分2,000缶のスピードで詰められているそうだ。何もかもがダイナミックで圧倒されること間違いなし!
 
最後は、お待ちかねの試飲タイム♪ 出荷して10日以内というフレッシュなビールの飲み比べでは、「一番搾り」と秋田県大雄産「かいこがね」の第1等品ホップを贅沢に使用しギフト限定の「一番搾りプレミアム」をチョイス。「一番搾り」はすっきりと飲みやすくバランスのいい飲み慣れた味。作りたてだからか、クリアなのど越し。「一番搾りプレミアム」の方は、ホップ由来のシトラスやハーブのようなアロマがあり、モルト感も味わえるビール。当日は、ほかにも「一番搾りスタウト」などが試飲ラインナップに。試飲中には、おいしいビールの注ぎ方、その名も「三度注ぎ」のレクチャーを! その極意は……。

写真左上から時計回りで、ずらりと並んだ試飲スペースのタップ、3度注ぎの①の工程、3度注ぎの②の工程、3度注ぎで泡が立ちあがっているところ、タップから注ぎたての「一番搾り」。

①1度目は豪快に上の方からグラスに注ぎ、ビールが空気に触れないよう、泡でいっぱいにする。
②少し待って泡とビールが五分五分になったら、2度目として泡の中央めがけて少しずつグラスいっぱいに注ぐ。
③3度目は、泡とビールが4対6になったタイミングで中央にゆっくり注いでいくと、もこもこした泡がグラスの形でぐぐっと見事に立ってくる! 
  
これがキリンビールがおすすめする、ビールを目でも口でもおいしく味わえる「三度注ぎ」の技。ちなみにビールグラスは、ほかの食器(とくに油もの)とは別にして洗い、指紋がつかないようにグラスを逆さまにして自然乾燥するとより泡立ちもよくなるそうだ。
 
見学と試飲で70分のコースが終了したら、工場まわりをぶらり。ここは公園が併設されており、紅葉した木々や心安らぐビオトープなどを散策できる。近所にある生麦小学校の理科の授業では、植物や昆虫の観察授業にも毎年使われているとのこと。夏にはバーベキューができるプランもあるそうだ。そんな公園を歩いていると、煉瓦作りのレストランが。こちらは、「スプリングバレーブルワリー(以下SVB」直営のビアタバーンで、3月25日にリニューアルリニューアルオープンした話題店。そろそろランチタイムに差し掛かるので、SVBのビールとともに、おすすめランチに舌鼓! 明治時代の横浜を思い起こさせるクラシカルな店内は、まるでビアホールのような雰囲気で、天井が高く実に気持ちがいい。SVBが稼動したばかりの頃、実際に小規模醸造していた名残の釜がデコレーションされている。パスタやサンドイッチ、肉料理のメニューもあるなか、キリンビール広報の籠倉啓子さんいちおしのペアリング、SVBのフラッグシップビール「496」(¥680)と「自家製ミートローフ」(¥1,400)をオーダー。エールのようなコクとラガーのようなキレ、フルーティなホップ感が見事に合わさった「496」は、濃厚でありながらも肉とソースの旨みと甘みと絶妙マッチング。添えられたパンもビール酵母で作られたもので、まさにビールを味わうためのメニューだ。

写真左上から時計回りで、倉庫のような広々とした店内、自家製ミートローフのランチセット、ビアインフューザ―とカスタマイズビール。

ランチのあとに、もう一杯! ぜひ試してほしいのが、SVBでしか味わえない“カスタマイズ”ビール(360ml ¥1,080)。「ビアインフューザ―」と言われるマシンで、SVBのビールにホップやフルーツなどの自然素材の香りを付け、新しい味わいを楽しめるものだ。 注文してから1杯ずつ“ビアバリスタ”が丁寧につくり、日替わりでメニューが変わる。この日は、「496」にシトラスのような清涼感のある「ギャラクシーホップ」の香りをまとわせたフレーバー。粉状にしたホップをガラスの筒の中でビールと合わせ軽く撹拌、濾過して提供する。さきほど飲んだ「496」に比べて少し濁ったような色合いで、さわやかな香りが格段にアップ! すがすがしい苦みをほんのりと感じられ、フレッシュな味わいが楽しめる。こちらは1日30杯限定なので、味わいたい人はお早めに!
 
>>次は、JRを乗り継いで関内駅へ移動!

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photo & text : Tomomi Seki

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