食の理想をクールに伝える 「スイートグリーン」の躍進
20代の若者が立ち上げ、7年間で29店舗にまで急成長したサラダ店がある。サラダを通じて、新しいライフスタイルを提案する「スイートグリーン」の魅力とは?
近隣の農家から
朝届いた野菜で作るサラダ
現在はカリナリー・ディレクター(料理ディレクター)も就任し、味もさらに改良されている。サラダには定番メニューと、自分で好きな野菜を選んでカスタムする方法がある。カスタムではベースとなるケールやルコラなどの葉野菜、そしてキヌアなどの穀類を選び、そこにブロッコリやトマトなどをトッピング、さらに追加でローカルのゴートチーズやローストチキンなども加えられる。料金はだいたい10ドル前後。ビッグサイズなので、サラダだけで充分食事になる。
その人気の理由は、食べてみればすぐわかる。ずばり、おいしいのだ。「スイートグリーン」はオーガニックな小農家と契約を結び、店舗ごとになるべく近在の農家から野菜を仕入れている。その朝仕入れた食材を使い、注文を受けたあとに多くを準備する。例えばアボカドは丸ごと置いてあり、目の前で皮をむいてくれる。チーズも同様に、かたまりから切りとってくれる。また温かい穀物はストウブの鍋で調理されていて、ドレッシングはバルサミコからスパイシーカシュー、ブルーチーズまで15種類もあり、かける量も選べる。黒板には産地が明記されている。
こうした“ファーム・トゥ・テーブル”、すなわち「農場から食卓へ」の動きは、数年前からN.Y.で大きなトレンドとなっている。ただし、こういったテーマを掲げる多くの店はレストランであり、ビジネスマンがせわしない昼休みに食べるのは、デリや屋台のランチだった。そこに切り込んだのが「スイートグリーン」だ。オーガニック野菜を手早く手軽に食べられるスタイルは街で評判となり、近頃は他社で同様のスタイルをとった「ディグ・イン」というチェーン店もN.Y.で急成長している。「スイートグリーン」が先陣を切ったこのトレンドの背景には、消費者が食の安全と産地にコンシャスになったことが大きいだろう。
photo:Michika Mochizuki text:Eri Kurobe