特集 2015/3/16(月)
世界のおやつfrom Singapore/haru

見た目も華やか、名前もかわいい! シンガポールおやつ「ニョニャクエ」

多様な民族が入り混じるシンガポール。そのエネルギッシュな混沌はそれぞれが持ち寄った伝来の文化に新しい刺激を与え合い、ユニークに進化させてきました。プラナカンと呼ばれる人達が継承してきた文化もその流れを汲むひとつ。今回ご紹介する「ニョニャクエ」はそんな彼らの代表的なお菓子です。

「プラナカン」とは、15世紀後半からマレーシアやシンガポールにやってきた中国系移民の子孫たちのこと。かれらは現地の女性と結婚し、ひとつ屋根の下で互いの文化が時をかけて混り合いました。この国が単なる東西貿易の要街としての経済的機能を超え、ここにしかない文化的融和に成功した背景には、きっとそんな小さな異文化交流の蓄積が欠かせなかったのだろうと思います。
 
そんな経緯が色濃く反映されているのが、今回ご紹介する「ニョニャクエ」。その意味は「プラナカン女性のお菓子」というシンプルなものです(プラナカンの女性=「ニョニャ」、お菓子=「クエ」)。この「ニョニャクエ」、ホームメイドが基本ですが、マレーシア、シンガポールではお店でも手軽に購入することができます。パンダンリーフやブンガ・テランの花(Blue Pea Flower)やローズシロップを用いて、緑や青・赤など鮮やかな色のお菓子に仕上げてあり華やか。たくさんある種類の中からいくつかを紹介します。

「Angku Kueh(アンクー・クエ)」(写真左上)は、長寿と言われる亀を模したお菓子で、女の赤ちゃんの誕生1ヶ月お祝いの時に配られます。甘さ控えめのお餅に緑豆のあんが入っていて、見た目よりあっさりしたお味。「Kueh Lapis(クエ・ラピス)」(写真右上)は、9層になった中国の紅白餅が原型で、1枚1枚焼いて正式には9層に貼り合わせていきます。これを見るといつもバームクーヘンを思い出します。Lapis(ラピス)はマレー語で「層」という意味で、「Lapis Sagu(ラピス・サグ)」(写真左下)は、 ういろう風のカラフルなお餅を重ねたお菓子。こちらも正式には9枚。甘さ控えめでもっちりおいしく、1枚1枚はがして食べたくなります。「Onde Onde(オンデ・オンデ)」は、パンダンリーフで着色したもち米粉で、グラマラッカ(ココナッツから作る黒糖)を包んでゆで、ココナッツフレークをまぶしたお菓子。なかからとろりと蜜があふれるので、ひと口でパクっと食べないと大変なことに……。と、まだまだたくさんあって紹介しきれません。シンガポールに来たらぜひお店を覗いてみてください。色とりどりなお菓子に迷うこと間違いなしです。これらはほぼ生菓子なので、旅先で購入した際は、お早めにお召し上がりくださいね。
 
さてさて、ひと口でパクっと食べないと大変な事になるオンデ・オンデ。日本人にもなじみやすい味で、私は良く買って食べるのですが、先日そんな話を友人としていたら「うちの義祖母、良く作るよ」と……さすが、シンガポーリアン! これは早速教えてもらわなければと言う事で「オンデ・オンデ作り教室」を開催してもらいました。
 
>>次のページでは「オンデ・オンデ」のレシピを紹介!

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  • haru●商社に勤務後、1997年に渡仏。フランス・パリRits Escoffierにて製菓のDiplomeを取得した後、Hotel Ritsにてスタージュ。1999年2月より13年間、東京駒沢の自宅にてEcole de patisserie chez haruを主宰。現在、シンガポールに場所を変えて活動中。新店mp立ち上げ、メニュー開発、レシピ提供をしている。
    http://www.mangosteen.com.sg/lesson/culture-cake/

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