特集 2016/6/6(月)
世界のおやつfrom Helsinki/歌野嘉子

フィンランドで独特の発展を遂げてきた、パンケーキの新世界

「パンケーキ」というとふわふわ、モコモコな写真が思い浮かぶほどなじみのあるスイーツ。のはずですが、フィンランドには独自の発展を遂げたさまざまなパンケーキがあります。見た目も味も、登場するシーンまでも実にバラエティ豊かな、フィンランド版パンケーキの世界をご紹介しましょう。

オフカイネン(ohukainen)と同じく「クレープ」を意味するレットゥ(lettu)。先ほどのオフカイネンがクレープとパンケーキの間で揺れていましたので、レットゥについても検証しなければなりません。張り切って検証に向かったのは、森。レットゥはパンケーキなの? クレープなの? どっち!? ということで5~10月のシーズン中だけオープンしている森の案内所へ直行!

目的は、5~9月中のみレンタルサービスがある「ピクニックセット」(15ユーロ=約¥1840)。ブランケットやコーヒー用のやかん、コーヒーの粉にマッチ、紙皿類、そしてパンケーキの生地とパンケーキ用フライパンなどがセットになっているのです。バターやフライ返しなどもきちんと付いているので、本当に手ぶらでピクニックに出かけられます。

火をおこして、折りたたみ式のフライパンをよく熱すると準備完了。パンケーキの生地はドロッとした状態でボトルに。そして水のボトルも1本付いてきます。生地は好きな濃さに薄めて、お好みの厚さでフライパンへ投入。直火で焼くと周りがチリチリ、真ん中ふわふわでかなりいイイ感じ! バターの良い香りが森に漂います。うー、はやく食べたい!
 
と、ここで気づくのです。このスイーツ、端っこは名前の通りクレープな感じ。ブルターニュ発祥の薄くて香ばしいあのクレープのイメージに近いものがあります。しかしながら、真ん中の辺りは、薄さとは無縁のもっちり感。これはパンナリに通じるパンケーキのようなスタイルです。検証の結果、「レットゥはクレープであって、パンケーキでもある」という結論に。

ピクニックセットには紙皿が付いていますが、撮影用に私物プレートを持参しました。

悩みながらもフォークは止まりません。やかんを火にかけて粉コーヒーを煮出した「やかんコーヒー(pannukahvi)」(これ専用の粉がスーパーマーケットでも売ってあります)と、レットゥ。最高の森のおやつです。ベリーやホイップクリームで贅沢に食べると立派なスイーツ。ピクニックセットについている砂糖だけで食べても素朴なおやつでどちらも捨て難い! ピクニックセットを返却に行くと、お姉さんが「上手に焼けた?」と興味津々の様子。お姉さんによると、森のレットゥは熟練の技が必要なのだそうです。だいたい家族に一人は上手な人が居て、その人がレットゥ奉行になるのが普通なのだそう。
 
レットゥ奉行、なんて甘い響きでしょう。私も奉行レベルになるまで、森で修行します!

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  • Opastupa Haukanpesä(オパストゥパ・ハウカンペサ)
    Haukkalammen luontotupa Haukkalammentie 32 , 02820 Espoo
    tel. +358-40 450 1664
    営業時間/5月7日~9月11日10:00~16:30 9月17日~10月23日9:30~16:00
    ※ピクニックセットレンタルは9月まで。事前予約不可。料金変更あり。
    http://www.luontoon.fi/en/nuuksio/palvelut/haukkalampi

  • 歌野嘉子(うたのよしこ)●留学、現地旅行会社勤務を経て、ヘルシンキにてコーディネート事務所を主宰。個人旅行、ウェディング、各種メディアコーディネートのほか、デザインアパートメントホテルを運営。美味しい食事とお酒、美しい器があればほかにはなにも要らない!
    http://www.officeutano.fi

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