特集 2017/1/16(月)
世界のおやつ from Bologna / Mari

並んででも食べたい! 絶品イタリアンサンド「パニーノ」

イタリア語で「おやつ」というと、甘いものを表す「Dolce(ドルチェ)」が真っ先に頭に浮かぶかもしれませんが、もう一つ「間食」を表す「Merenda(メレンダ)」という言葉があります。イタリアでは子どもが小学校にあがると「メレンダを持ってきてくださいね」と学校から指示があり、子どもたちは休み時間に家から持ってきたメレンダを頬張ります。なかでもメレンダの代表格といえるのが、「Panino(パニーノ)」。パンにハムやチーズをはさんだり、時には甘いバージョンでNutella(ヌテラ)を塗ったり。そこで今回はイタリア人の生活に欠かせない「パニーノ」をご紹介します。

イタリアのバールには必ずと言っていいほど置いてある「パニーノ」。そんな、どこにでもある日本のおにぎりのような存在の食べ物なのに、多くのボロニェーゼが並んででも食べたいという「パニーノ」があると聞いたら味わってみないわけにはいきません。というわけで、今回訪れたのはパニーノ専門店「Il Panino(イル・パニーノ)」。

ボローニャ駅からほど近く、メインストリートのインディペンデンツァ通りから一本入った映画館の目と鼻の先。この場所に、プーリア州出身のGlicerio(グリチェリオ)さんとSilvio(シルヴィオ)さんが、お客様の目の前で新鮮な食材を切るところから手掛け「パニーノ」を提供するという、これまでボローニャにはなかったスタイルのパニーノ専門店「イル・パニーノ」を2014年3月にオープンさせました。

写真上は、オーナーのシルヴィオさん(左)とグリチェリオさん(右)。

「おいしいパニーノを手頃な価格で多くのお客様に届けたい」という思いから、2人はできることはすべて自分たちで取り組んでいます。約8か月の開店準備期間には店舗内装やメニュー作成を一から手掛け、開店後も高品質な食材の調達からお客様の目の前での「パニーノ」作成まで、日々、所狭しとキッチンを走り回って対応しています。これらの努力によって、イタリア全土から届く良質の材料をふんだんにサンドした「パニーノ」を5ユーロ前後で提供し、今では一日平均250以上の「パニーノ」がお客様の手にわたるのだとか。

「イル・パニーノ」で使用している食材は、イタリア全土のおいしいもの図鑑を見ているよう。「パニーノ」の主役であるパンにはCiabatta romana(チャバッタ・ロマーナ)を採用。胃もたれせずカリカリの食感を楽しめるパニーノに仕上げるため、一般的なチャバッタよりも柔らかな部分が少なくなるよう信頼のおけるパン屋に特注しています。中にはさむ具材としては、ハム・サラミ系ではボローニャのMortadella(モルタデッラ)やパルマの生ハムはもとより、プーリア州マルティーナ・フランカのCapocollo(カポコッロ)、トスカーナ州コロンナータのLardo(ラルド:ラード)、トレンティーノ州のSpeck(スペック)、カラブリア州の塗るサラミ、Nduja(ンドゥーヤ)など。チーズは、プーリア州ジョーイア・デル・コッレのMozzarella(モッツァレッラ)や、トスカーナ州ピエンツァのPecorino(ペコリーノ)などなど、枚挙にいとまがありません。

ハム類はおいしい部分だけになるよう、不必要な部分を丁寧に取り除いた後にスライスします。チーズ類、トマトやバジルなどの野菜類も注文が入ってからカットするので新鮮さや香り高さが格段に違います。

パニーノの価格は3ユーロから一番高いものでも7ユーロ。旧市街内(駅の少し裏でも可)なら1ユーロプラスでいくつからでも配達してくれます。

ボローニャの町が大好きという2人によって作られた60種類近い「パニーノ」には、すべてボローニャの通りの名前が付けられています。メニューの1番目は「Via Zamboni(ヴィア・ザンボーニ)」。グリチェリオさんの故郷Celie Messapica(チェーリエ・メッサーピカ)にあるサルメリアの主人Vincenzo Zito(ヴィンチェンツォ・ジト)さんが考案した名物「パニーノ」に、ヨーロッパ最古のボローニャ大学が位置する通りの名前が付けてられているのです。イタリア人は普段、肉と魚は一緒に食べないのですが、この「パニーノ」はモルタデッラとツナを合わせるという画期的な組み合わせで大人気。そしてグリチェリオさんはこの故郷の「パニーノ」の横に「x Ciccio」と書き、今は亡き同郷の親友Ciccio(チッチョ)さんに捧げています(xは、Perのことで「捧げる」の意)。
 

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  • Mari●大手経営コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして勤務後、2006年に渡伊。2人の男の子のマンマをしながら「フェリチターリア」の通訳・翻訳者・FAI(イタリア環境基金)認定の文化・芸術メディエーターとして、「食の都」ボローニャを中心にイタリアの魅力を発信中。
    http://www.felicitalia.net/

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