特集 2016/11/7(月)
世界のおやつ from Bologna / Mari

イタリアの秋を満喫! トリュフ祭りと揚げパン「クレシェンティーネ」

木々の葉が色づき始める10月、ボローニャ近郊にあるアペニン山脈のふもとの町々では「Tartufo(タルトゥーフォ:トリュフ)」と「Festa(フェスタ:祭り)」からネーミングされた「Tartufesta(タルトゥーフェスタ)」というトリュフ祭りが開催されます。今回はボローニャから車で約30分のSasso Marconi(サッソ・マルコーニ)という町で開催されたトリュフ祭りの様子と、この地方の祭りには欠かせないおやつ「Crescentine(クレシェンティーネ)」をご紹介します。

フェスタをひと歩きしたあと、ランチに向かったのがAssociazione Antico Mondo Contadino(アソシアツィオーネ・アンティーコ・モンド・コンタディーノ)という農民と農村文化をサポートする協会が運営している「クレシェンティーネ」の屋台。クレシェンティーネとは、小麦粉、ビール酵母、塩、牛乳、オリーブオイル、ミネラルウォーターで作った生地を油で揚げたパン。それに、生ハムなどをはさんでいただきます。ボローニャやモデナなど、アペニン山脈のふもとで食べられているご当地おやつです。

写真左上右:説明をしてくださったRomano(ロマーノ)さん。

今回、「クレシェンティーネ」の作り方の説明をしてくれたのは生地作り担当のロマーノさん。相棒のルイージさんと一緒に材料を用意し、30分ほど生地を機械にかけたあと、20分休ませます。多い時には1日で100kg以上の生地を作るのだそう。出来上がった生地は、生地を伸ばす担当の手にわたり、生地が伸びたらその横で型抜きを行い、さらにその横で生地を揚げ油に入れるかごに並べます。

そして、かごを受け取った揚げ担当のおじさまが「クレシェンティーネ」の生地を油に投入! するとすぐに生地がプクーッ、とすごい勢いで膨らんでいきます。その生地を2本の木べらをうまく使いながら押さえ、いい色あいになるまで揚げていくのです。片面が揚がればクルッとひっくり返してもう片面を。10枚のクレシェンティーネを揚げる時間はわずか1分強と想像を超える速さです。そこにスライス担当が切った生ハムやベーコン、コッパ、ミックスチーズなどを、具材をはさむ担当が注文内容に沿って準備し、やっとお客様の手元へと「クレシェンティーネ」がわたります。昼時ともなると、多くの人が列を作るので、具をはさむ担当は3、4人体制です。

こちらの笑顔が素敵なアルフォンソさんは、具をはさむ担当。彼の大きな手から渡された「クレシェンティーネ」は、なんと先ほどの「クレシェンティーネ」を2枚使って生ハムをはさんだもの! 1枚が大きかったのでそれを半分に折って具をはさむと思っていたので、そのボリュームにびっくりです。

生地は、中に空気が入ってふくらみ、表面はパイ生地のようにホロホロとした食感。生ハムと一緒に食べてみると繊細な食感で、大きくみえるけれどとても食べやすい! 値段は、3.3ユーロでした。「タルトゥーフェスタ」に訪れる最大の目的が、この「クレシェンティーネ」という人がいるのも納得です。

昼の人波がひと段落した頃、屋台に「Chiuso(閉店)」と書かれた段ボールを発見。横のテーブルに目をやってみるとさっきまで「クレシェンティーネ」を作っていた皆さんが仲良くテーブルについていました。ロマーノさんのお話では協会のメンバーは全員ボランティアで、材料費などを除いた収益は、地元の教育支援や貧困者支援、また、最近ではイタリア中部地震の被災者支援のためなどに寄付されているそうです。こうやって無理せずゆったりと楽しみながらの活動だからこそ、心に余裕を持ちながらボランティアとして20年以上も活動を続けられるのだろうな、と思いました。
 
今年は13の地方自治体が参加し、10月8日から11月20日まで各地で次々に開催されている秋の「タルトゥーフェスタ」。この時期にボローニャ近郊を訪れるご予定の皆さんはぜひ足を運んでみてください。ロマーノさんたちの「クレシェンティーネ」にも出会えるかもしれません。

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  • Mari●大手経営コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして勤務後、2006年に渡伊。2人の男の子のマンマをしながら「フェリチターリア」の通訳・翻訳者・FAI(イタリア環境基金)認定の文化・芸術メディエーターとして、「食の都」ボローニャを中心にイタリアの魅力を発信中。
    http://www.felicitalia.net/

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