ここから始まる素敵な旅の一日。
料理研究家が提案する旅の朝ごはん
　
彼女がこのカフェのオーナー兼プロデューサーである、料理研究家の山之内裕子さん。2000年に愛媛から移住してきた当時は、まだカフェ文化が根付いておらず、那覇市のカフェの先駆け的存在だった「Cinnamon cafe（シナモンカフェ）」でアルバイトをスタート。数年後には、店長に抜擢された。2005年に宜野湾市にある「Cafe Unizon（カフェユニゾン）」の立ち上げとメニュー開発に関わり、あらたに食をプロデュースする立場で活躍。また、いまでは大人気の手みやげとなっている「カフェユニゾン」の持ち帰り用オリジナルスイーツ「極糖（こくとう）クグロフ」をプロデュースしたのも彼女だ。宮古島で昔ながらの製法で作られている希少な黒糖、「極糖」を使ったこのスイーツは、都内有名百貨店のお中元・お歳暮ギフトに選ばれるほか、雑誌などメディアでも取り上げられ注目を集めている。そして最近では、バンド「THE BOOM」の宮沢和史さんプロデュースのカフェ「みやんち」のメニュー開発に携わるなど、食と向き合う日々を送っている。

そんな彼女が初めて自身のカフェをオープンしたのが、牧志公設市場にほど近いこの場所。これまでクライアントありきで食の仕事をしていたが、初めての自分の店を持つことになり一層力が入ったことだろう。
「実はそうでもなくて（笑）。どちらかというと巡り合わせで店をオープンした感じです。たまたま市場に近いこの物件に出合って、ここなら自分らしい食の提案ができるかも、と思ったんです」。
これまでも裕子さんは、沖縄食材を使った料理教室を展開するなど、地元の野菜をどう家庭で使っていくかを提案してきた。だからこその決断だ。
　
　
移住して初めて知った
沖縄食材に魅せられて……
　
「沖縄って、見たことも聞いたこともないお野菜にあふれているんですよ。栄養価も高くておいしいのだけれど、結局使い方が分からなくて毎日の食卓に取り入れることができなかったりして。でも意外にも使ってみると手軽だし、いろんな素材と合う。沖縄の素材を用いたメニュー考案は、料理研究家としてはとても楽しい仕事です。見知らぬ土地に行ったら、その土地の物を食べたいですものね。そして市場といえば朝。ならば朝食をコンセプトにしようとすぐに思いつきました。朝からおいしいごはが食べられたら、一日の始まりが豊かになるんだろうなって。朝食のありかたって人それぞれで、しっかり食べる人、フルーツやサラダだけを摂る人、もっと手軽に飲み物だけで済ます人、などいろいろですよね。だからどのメニューをとっても、みんなの朝ごはんになるように考えました」。

仕入れはもちろん、地元の市場へ。　
「その時に必要なものだけを仕入れて、必要になれば隣の市場に買いに行くんです。なんだか隣に大きな冷蔵庫がある感じ」と笑う裕子さん。
農家直送の新鮮野菜を扱う市場では、今何が旬でどの素材の出来がいいのか……といった市場ならではの情報も得られる。
「今年は雨が多かったからね。みずみずしさが違うよ」とか「来週くらいになったらもっといい物が出てくるさ～」、「どうね？　味見してみない」 など、スーパーや業者から仕入れるのとはまた違った楽しみもある。その時に仕入れた旬な素材を使った季節メニューを考案したりと、料理研究家の腕を発揮できるのも、この場所でカフェを営む楽しみのひとつだそう。
　
食材は旬のうちに食べること。朝ごはんをしっかり食べること。土地の野菜を食べること。「C&C BREAKFAST OKINAWA」が愛されている理由は、沖縄らしさを活かした「おいしい朝ごはん」の提案ができているからだろう。料理こそ最もクリエイティブな営みと考え、日々食材と向き合っている料理研究家、山之内裕子さん。そんな彼女がとくにおすすめする、カフェの朝ごはんメニューは？
　
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