『レ・ミゼラブル』の大役を担ったアン・ハサウェイがたどり着いた幸せの“境地”
都内ホテルにて行われたインタビュー。会場には共演者ヒュー・ジャックマン、アマンダ・セイフライドらも登場。「おひさしぶり!」とあいさつする朗らかなアン・ハサウェイは、以前とは違うなにか柔らかなオーラであふれていた。結婚もしたばかり、大役も演じきり幸せいっぱいの彼女が語った、金字塔『レ・ミゼラブル』での経験と、そこで手に入れた「幸せ」とは? 彼女のキュートな会話が始まった。
ボロボロにならなければ救われない
――こんにちは。今日も素敵なファッションですね。どちらの?
ドレスは「マルニ」、シューズは「トリー・バーチ」よ。あなたファッションマガジンの編集者でしょ? 見て分かったわ(笑)。
――そ。それは、どうもありがとうございます……と言っていいのかどうか(笑)。衣装も演じるのに役立つと思いますが、それ以外でファンテーヌの役作りに必要だったことは?
フォーカスを置いたのは観客が知らなければいけない、彼女がなにものであるかということをわからせなければいけないということ。ファンテーヌもジャン・バルジャンもそうだけれど、とことんボロボロにならないと贖罪はえられないのではないかということがこの作品のテーマでもある。そこで優しさや思いやりを見せられた時に、立ち戻る瞬間に、愛が戻ってくる。だからファンテーヌも心の平穏を死ぬ前に取り戻すことができるの。
だから髪を切らないなんてそんな選択はなかったわ。皆にそこまでしなくてもって言われた。でも、そうでなくてはいけなかった。犠牲をたくさん強いられたファンテーヌだから、私も犠牲のひとつくらいって気持ちもあったわ。
それに、ミュージカルだから皆が歌っている非リアルな世界よ。そんな世界をリアルにするためには、観客がウィグなんかに気を取られたらおしまい。ドラマから気が散を散らせるようなことはしたくなかった。やった価値があると思うわ。この映画を観客の一員として観たとき、私も髪を本当に切ったことがわかったからこそ、(映画の)世界を受け入れることができたの。
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1985年の初演以来27年に渡って世界中で上演されてきたロングラン・ミュージカル。
ヴィクトル・ユゴーの金字塔を原作に持ち、「無償の愛」「贖罪と救い」「真実の愛」など普遍的テーマを感動的なメロディーと詞で表現したのが、アラン・ブーブリル、クロード=ミシェル・シェーンベルグたち才能の結集!
キャストも米英豪など、あの『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を受賞したトム・フーパー監督の下、世界中からトップの実力者たちが集まりミュージカル映画史上最高の作品になるのではと評されているこの傑作は、さすがに映画館でないと見逃したも同然。死にゆくファンテーヌを演じるため、アン・ハサウェイが髪も実際に切り落とし、顔に筋が浮かび上がるまで痩せた姿も見逃すべからず。
(C)Universal Pictures.