不倫当選、夫妻W拘留、復縁デート……。作家・鈴木涼美が斬る「女の事件簿2017」
2017/12/29(金)
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2017年3月15日、羽田空港に到着した籠池泰典被告と妻の諄子被告。しかし、このあと東京都内で予定されていた会見をキャンセル。

事件ファイル3

W拘留の絆。籠池夫妻の赤い糸はどこまで伸びる? 

今年のニュース番組で最もよく見かけた夫妻のうちの一組は、7月に逮捕された森友学園前理事長の籠池泰典被告と、妻の諄子被告でしょう。現在は共に拘留されていますが、夫婦で長期間マスコミに晒され、また長期にわたって拘留される、という姿を見て、夫婦の絆はどこまで強く持つべきなのか、とても考えさせられます。

例えば、離婚間際に奥さまの方がやや情緒不安定な動きを見せて、結果的に彼女を見捨てた形になったけれど、自分のファンやスポンサーにはきちんと誠意を見せてイメージを守った俳優さんもいらっしゃいました。これはこれで、自分の印象というものにしっかり向き合った、聡明な判断だと私は思います。

毒をくらわば皿まで、と地獄まで付き合うのか、許容範囲を設定し、リミットを超えたらけじめをつけてお互い別の道を歩むのか。これは「どれがベスト」などと気軽に言える類のものではありません。ただ、女性がそれなりの経済力をつけだした今、地獄まで付き合うことこそが結婚や恋愛の美徳・醍醐味とするのは不健全な気がします。

自分はどれだけ相手を愛しているか。どこまで運命共同体であるべきか。前時代的な価値観に囚われず、自分はどこまで自分の面倒を見られるか、という前提を踏まえた上で、先に判断しておく、というのは現代の女性にとって重要な気がしてなりません。少なくとも、一緒に拘留されるのはもちろんひとつの選択肢ではあるけど、自分の人生と夫婦としての人生をある程度分離する、というのもひとつの判断な気がしています。

Text: Suzumi Suzuki Photo: Getty Images, Aflo

  • 鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)、『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)、『おじさんメモリアル』(扶桑社)など。最新の著書は今を生きる女性のお金の使い道や稼ぎ方について評した『オンナの値段』(講談社)。
    Twitter:@Suzumixxx
    http://lineblog.me/suzukisuzumi/

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