特集 2017/3/8(水)
News Editor's Eye

エマ・ワトソン騒動が教えてくれた「ファッションはフェミニズム」

下乳を見せたエマ・ワトソンが“フェミニスト”たちにSNSで噛みつかれた。「あなたはフェミニストではない」と。そこから見えてくるファッションとフェミニズムの共通点とは?

「ディオール」2017-18秋冬コレクションより

Photo : IMAXTREE

真のファッションが提案してきたのは表現の自己決定を実現させるための選択肢の自由だ。決して「これこそが女性のファッションだ」と押し付けることではない。いくつかのトップメゾンのコレクションを見ればよくわかる。顕著だったのが発表されたばかりの「ディオール」のコレクションだ。快活なフレンチ・ガール風のミニワンピースもあれば、挑発的に見えるフィッシュネットとシアー素材とショーツのパンクな組み合わせがあったり、修道女のような全身を覆う慎ましやかなスタイリングがあれば、ゴージャス極まりないシークインのロングドレスもあったりする。ベレー帽とブルーの世界観で統一され、確実に「ディオール」なのに、女性像は多種多様。すべてが女性のための服であり、どんな女性像もすべての人が自由に選んでいいのだから―――そんな解釈が可能になる多様性に溢れた68ルックだった。

エマ・ワトソン(Emma Watson)

Photo : Getty Images

エマ・ワトソンは巻き起こる騒動に対し、「フェミニズムと私の胸は関係ない。フェミニズムとは“自由”であり、“解放”することだから」と答えた。これを苦しい言い訳ととる人がいるかもしれない。でも、この彼女の言葉にこそフェミニズムの本質がある。エマが下乳を見せて性的に自分の魅力表現するのを、反フェミニズムというのは短絡的だ。なぜなら、すべての人には、性的にも非性的にも、上品にも下品にも、オーセンティックにもエッジィにも、自分を表現する自由があるから。それは恐れから解放されることでもある。

  

フェミニストだって、いやだからこそ、あるときはアセクシャルな、あるときはセクシーな女性を演じ、男性的な側面と女性的なそれをその都度使い分けたっていい。どんな女性に見えるのか自覚的に選びとり、そのリスクを引き受け、自分自身を使いこなすことが今のフェミニズムなのだから。

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  • (※)2017.3.14追記:冗談です。ほんとうはみすずのほうです。

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