特集 2017/3/8(水)
News Editor's Eye

エマ・ワトソン騒動が教えてくれた「ファッションはフェミニズム」

下乳を見せたエマ・ワトソンが“フェミニスト”たちにSNSで噛みつかれた。「あなたはフェミニストではない」と。そこから見えてくるファッションとフェミニズムの共通点とは?

第二波フェミニズムの代表格、作家で実存主義哲学者シモーヌ・ド・ボーヴォワール(Simone de Beauvoir)

Photo : Getty Images

したがって、真のファッションといえるかどうかがかかっている基準がひとつだけあるとすれば、装飾という表現手段を主体的に自覚的に選んでいるか否かだ。
 
これはまったくフェミニズム論争の歴史と重なる。かつて何がフェミニズムで、何がそうでないかでフェミニストたちは争っていた。少なくとも第二波フェミニズムまでは。フェミニストたちは、普遍主義か差異主義かで争い合ったし、男性ゲイを仲間にするべきか、敵にするべきかでも分裂した。しかし、少なくとも第四波まで手を伸ばしている現在のフェミニズムにはそんな分裂は意味がない。結局フェミニズムがたどり着いた「核」は、やはり最初から変わらない「自己決定」と「主体的選択」だった。こうしたいという欲望に圧力をかけ、女性たちの選択に無自覚の裡に偏りや不平等を生じさせている見えざるパワーが問題なのであって、女性が偏りのある方法や事象を行動に移すこと自体を問題にするのならそれは個人攻撃をしているだけだ。「私は自覚的にこの行動をとっています」と偽りなく言えること、それがフェミニズムだ。「男性の性的視線に無自覚にさらされること」「性的に価値がなければいけないと盲信して行動してしまうこと」がいけないのであって、「性的視線に晒されること」「セクシュアリティの対象となること」そのものを否定してしまったら、自覚的な性行動まで否定することになる。実際、第二波フェミニズムのなかには、男性とのセックスを拒否することで女性の権利獲得や平等を模索した(つまり皆がレズビアンになってこそフェミニズムが確立すると信じた)グループもいたが見事に失敗している。

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  • (※)2017.3.14追記:冗談です。ほんとうはみすずのほうです。

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