ジェシカ・チャステイン、自身主演映画『ゼロ・ダーク・サーティ』のマヤ役のような主演女優が増えることを希望
実は完全に男性優位社会であるハリウッド映画業界(製作側は8割以上が男性)。そんななか、映画『ゼロ・ダーク・サーティ』の主人公マヤ役をきっかけに“独立心が強く能力が高い”役柄がもっと主演女優に配役されて欲しいとジェシカ・チャステインは願っているようだ。
オサマ・ビン=ラディン捕獲暗殺計画で活躍するCIAエージェント、マヤ役を演じたジェシカ・チャステイン。同役で数々の映画賞を受賞、及びノミネートされているのはみなさんご存じの通り。
BBCのインタビューに答えたジェシカは、この映画が巻き起こした政治論争に圧倒されていると語り、この映画が成功することによって、より多くの映画が“強い女性”をほかの多くの女優が主演で演じることができるようなきっかけとなればと願っていると語った。
「長い間、映画会社が『お金が稼げない』という理由で女性を主人公にした映画を作りたくないという話を聞いてきたわ。(映画『ゼロ・ダーク・サーティ』は)多分新しいトレンドを見せることになると思うわ。観客たちはほんの少しの人しか興味を引かないような物語ではなく、みんなが共有できる物語に興味をもつでしょうし」
「このマヤ役が演じるCIAエージェントという職業が、彼女のカウンター・パートである男性ではなく女性によって演じられたというのは非常に珍しいケースよ。これは女性たちが独立していて、能力が高く、強くて、誰かの生産物ではないこと―― 誰かのガールフレンドだとか悪者の餌食だとか――そういうものではもはやないっていうこの世代を代表するものだと思うの」
「自分の頭脳を使って賢くて知性溢れる女性を演じることはとってもエキサイティングだわ」
監督のキャスリン・ビグローもこの意見に同意。「この物語を掘り下げていくうちに、私はいかに多くの女性が諜報業界における多くの戦略立案に携わっているかということに気づきました」と言う。
最後に「実際、このひとりの女性が私を魅了したのよ」と語ったジェシカ。
男社会で女性が男並みに、いやそれ以上の重責(家事や育児など)を背負いながら働き、実績を上げても男と同等に見なされないのはお役所でも会社でも映画業界でもどこに行っても実態は同じ。ビグロー監督が描きたかったのは、本当はそういうことだったのかも。
text : Ryoko Tsukada