スティーブン・ソダーバーグ監督の新作映画が映画会社の意向で危うくお蔵入り。監督が怒りを爆発させた
伝説のシンガー、リベラーチェとその恋人をテーマにした映画『Behind The Candelabra(原題)』を製作したものの、その内容が「あまりにもゲイゲイしい」との理由で大手映画会社から総スカンを受けてしまい、監督のスティーブン・ソダーバーグが「ニューヨークポスト」紙に怒りをぶちまけている。
いかに時代が進んでいるように見えようとも、まだまだ保守的なハリウッド映画製作事情。新作映画でリベラーチェ役にマイケル・ダグラス、その若き恋人役にマット・デイモンを配し、自らもオスカー獲得済みのソダーバーグ監督がメガホンを取ったこの作品も、ハリウッドの“洗礼”を受けざるを得なかったようだ。
「(配給してくれる映画会社を見つけることは)誰もできなかった。ぼくたちは街中の全員に会ったよ。で、みんながみんな、『あまりにも内容がゲイっぽい』って言うんだ。しかもこれってあの『ブロークバック・マウンテン』が世に出た後のことだよ!? まああの映画は僕の作品ほどおかしくなかったけど。もう呆然としたよ。僕たちにとってはまったく説明がつかない出来事だよ」
出世作『セックスと嘘とビデオテープ』、『エリン・ブロコビッチ』、『オーシャンズ11』、『トラフィック』、昨年では『マジック・マイク』など、オスカー獲得経験もあり、興行成績も取れるという名監督も、この出来事には打ちのめされたようだ。
結局、映画はHBOが配給することになった。
「この映画は注目を集める磁石みたいなものだった。すべてのパッケージがHBOにとってはまさにダンクシュートがきた!みたいなものだった。でも、HBOはどうやって売ったらいいか全くわかっていなくて、彼らはただ恐れているばかりだったよ」
昨日お伝えしたライアン・マーフィー監督の映画『The Normal Heart(原題)』もHBOが配給。何がしかのターゲット・マーケティングなのかもしれませんが、取りあえずHBOが勇気を出してくれたおかげでとびきりの映画が観られるようで、ひと安心。
text : Ryoko Tsukada