特集 2016/6/6(月)
世界のおやつfrom Helsinki/歌野嘉子

フィンランドで独特の発展を遂げてきた、パンケーキの新世界

「パンケーキ」というとふわふわ、モコモコな写真が思い浮かぶほどなじみのあるスイーツ。のはずですが、フィンランドには独自の発展を遂げたさまざまなパンケーキがあります。見た目も味も、登場するシーンまでも実にバラエティ豊かな、フィンランド版パンケーキの世界をご紹介しましょう。

パンナリを少し小さく、丸くしたような形。厚みともちもち感はパンナリに似ているけれど、どことなくクレープ感もある焼き目……。オフカイネン(ohukainen)と呼ばれるこのスイーツは、直訳すると「クレープ」に近いのですが、見た目はやっぱり薄いクレープには程遠いのです。食感の点でも、どちらかというとパンケーキ。粉、卵、牛乳だけで作るベーシックなタイプのほか、ほうれん草などを入れたバージョンなど、手軽なおやつ感覚で食されています。

家庭で作るための専用フライパンも売られているほどで、いかに家庭で頻繁に作られているのかがわかります。ということで、当然手軽なパック入りもスーパーマーケットに並んでいるわけ。私の場合は迷うことなく市販品を買っています。ちなみに写真のオレンジのものはにんじん39%入り、グリーンのものはほうれん草16%入り(スーパーには野菜のほか、豚の血を混ぜた肉バージョンもありました)。これを軽く温めて、リンゴンベリージャムを添えて食べるのが一般的。野菜の優しい甘さと生地のほんのりとした塩味、ベリーの酸味が実によく合います。

1パック、1,95ユーロ=約¥240

私がこのパンケーキに出会ったのは、留学時代。ルームメートが、夕食にこのパック入りパンケーキを冷蔵庫から出してそのまま食べているのを見て、仰天した記憶があります。「おいしいのよ~」なんて冷たいほうれん草パンケーキをぱくついていたルームメイト。聞くと、学校給食にはよくこの野菜パンケーキが出ていたそうです。これをおかずとして、マッシュポテト、リンゴンベリージャムをワンプレートでいただくのが当たり前だったとか。「粉ものをおかずに炭水化物……!!」。なんだか関西でよく耳にする「お好み焼きをおかずに白米」に似ていませんか? 思わぬところに出てきたフィンランドの関西風味。「粉が入っていても、味や食感は野菜っぽいでしょ? だから野菜ハンバーグ感覚なの!」というコメントを、呆れて聞いたのが懐かしいです。
 
>>次ページでは、春夏限定、森の不思議スイーツをご紹介!

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  • Opastupa Haukanpesä(オパストゥパ・ハウカンペサ)
    Haukkalammen luontotupa Haukkalammentie 32 , 02820 Espoo
    tel. +358-40 450 1664
    営業時間/5月7日~9月11日10:00~16:30 9月17日~10月23日9:30~16:00
    ※ピクニックセットレンタルは9月まで。事前予約不可。料金変更あり。
    http://www.luontoon.fi/en/nuuksio/palvelut/haukkalampi

  • 歌野嘉子(うたのよしこ)●留学、現地旅行会社勤務を経て、ヘルシンキにてコーディネート事務所を主宰。個人旅行、ウェディング、各種メディアコーディネートのほか、デザインアパートメントホテルを運営。美味しい食事とお酒、美しい器があればほかにはなにも要らない!
    http://www.officeutano.fi

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