特集 2016/3/15(火)
イタリア、オリーブオイルの旅 vol.1

オリーブオイルができるまで

いまや日本のキッチンに欠かせない食材、オリーブオイル。世界に産地は数あれど、やはり目指すはイタリア! おいしいオリーブオイルを求めて旅するイタリア・レポートの第一弾は、オリーブオイルが作られる現場へ潜入。

農場を見たあとは、オリーブがオイルになる現場へ。同じくヴィンチ村にあるモンタルバーノ社。こちらのオイルは日本にも輸入されているので、口にしたことのある方も多いはず。 「Cooperative」といって、協同組合のようなしくみで運営しており、いろいろな畑から運ばれたオリーブで複数ブランドを手掛けている。

まずは、運ばれてきたオリーブがざざーっと機械の中に入れられる。ここで、実とそれ以外のもの(葉や枝)を分け、洗ったら、種ごと潰してペーストにする。それを一定の温度(27℃を超えないようにコントロールする、いわゆるコールドプレス)で練りこんだ後、遠心分離によって水と油に分ける。その油がヴァージン・オイルと呼ばれ、なかでも特に香りがよく、質が高いものがエキストラバージン・オリーブオイルとされる。

こちらの工場では、いくつかのブランドを作り分けていて、ボトリング、ラベリング、そして箱詰めまでを一連の作業で行っている。できたてのオイルはまさにオリーブ・グリーン。工場中にフレッシュなオイルの香りが漂う。

オリーブとオリーブオイルの国際協定を管理する政府間機関、「IOC(インターナショナル・オリーブ・カウンシル)」では、「テイスター」と呼ばれる人たちがオリーブオイルの鑑定を行うが、ここイタリアでは特に、「鑑定士」の資格を持った人たちによってオリーブオイルの質の良し悪しが決められる。イタリア中のオリーブオイル関係者のなかでも、この「鑑定士」の資格を持つのはわずかだそうだ。
こちらは、フィレンツェ在住の鑑定士のひとり、クリスチャン・ズバルデッラ氏。「通常、オリーブオイルの鑑定は複数の人で鑑定会を開いて行います。今日は特別にその官能検査の方法をお見せしましょう」。まずはオイルを小さな容器に入れて、香りをかぐ。そこから少量のオイルを口にすすり入れ、香り、味、余韻をじっくりと感じ取る。「オイルの特徴を表現するのには、さまざまな言葉を使います。代表的な表現をいくつか紹介しましょう。
1 フルーティな香り:オリーブの果実から生まれる香りです。オリーブは、果実から搾られるジュースであることを思い出させてくれる香りです。
2 野菜の香り:オリーブの葉や植物としての香りを想起させるものです。たとえばアーティチョークや、草を刈った後の香り、アーモンドやトマトの香りなどにたとえられます。
3 甘み、苦み、辛み:いずれもオリーブオイルの味を語るのによく使われます。
ざっとこんなところです。オリーブオイルをテイスティングすることがあったら、こうしたことを気にかけてみると面白いですよ」

こちらは、プロがテイスティングするときの道具。ブルーの容器は色を隠すのでは? と思いきや、実は色はあまり鑑定に関係ないのだとか。
こうして鑑定され、「◎!」をもらえたものだけが名乗ることができる「エキストラバージン・オリーブオイル」。一言にオリーブオイルと言っても、土や気候、ブレンドや製法によって味や香りはさまざま。自分好みのオイルがわかったり、料理にあわせてオイルを選べるようになったら、食べる楽しみがもっと増えそう。オイルのいろいろな味わいを、日常の食事でも楽しんでみて!

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photo : Tomoyuki Tsuruta   cooperation : IOC  special thanks : Miki Tanaka

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