エディターズPICK
2016/04/13(水)
早耳調査隊が行く!

“ブサイク”がモデルに。多様化する男性モデル界が突きつける「男の客体化」

イケメンもいろいろ。男性モデル界にダイバーシティの波が押し寄せ、これまでそモデル業界から排除されてきた人たちが認められるようになってきた。そこで、今人気のニュータイプの男性モデルたちを調査。同時に、この現象がストレート男性たちに突きつけるメッセージを分析。「男性諸君、あなたは他人の眼差しに耐えられている?」

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縦にも横にも大きい! ザック・ミコが晒した“ビッグサイズ”の身体

女性モデル業界にダイバーシティの波が一気に押し寄せた2015-2016年。今年はその波が男性モデル業界にも波及。特に2月から3月にかけて、“ブレイク”と言っても過言ではない大きなインパクトを与える現象が次々に起こっている。これから紹介する3タイプを参考に、新しい潮流を感じてみて。

ザック・ミコ(Zach Miko) photo:Courtesy of IMG

まず1人目は、俳優でもあるザック・ミコ(36歳)。彼が最初にブレイクしたのはアメリカの大手スーパーマーケットチェーン、「ターゲット」のオンラインストアで“ビッグ&トール”セクションのモデルに選ばれたのがきっかけ。これまでは、この「横にも縦にも大きい人」のセクションでも普通のモデルを使っていた。それはもちろん見栄えの為。だから、いわゆるプラスサイズの人にとって、そういった画像は自分とはかけ離れていると感じてしまっていたのは万国共通。大きすぎるザックにとっても、このセクションでモデルになることは大きな挑戦だった。
 
彼もまた、自分の体型について不安をもっていたから。彼のサイズは身長6フィート6インチ(約201cm)、ウェストは40インチ(約101cm)! 参考までに同じく量販店の顔となっている繋がりでトップモデルのデイヴィッド・ギャンディのサイズと比べると、デイヴィッドは身長191cm、胸囲101cm、ウェスト84cm、体重は91キロ。比較するとザックがいかにビッグかわかるかと思う。実際、「ターゲット」の撮影初日になんとXLサイズが用意されておらず(こういった“ビッグ&トール”タイプの服の場合でも通常は“普通”の男性モデルが使われる)、後ろを切って撮影に臨んだという。

 

 

この撮影が成功し、彼は初の男性プラスサイズモデルとして、同じく女性プラスサイズモデルのアシュリー・グラハム等が所属するトップエージェンシー、IMGと3月17日、正式契約を結んだと発表した。彼の為に新設されたディビジョン名は“Brawn”。「筋肉派」、とか「たくましい」という意がある。女性プラスサイズモデルの筆頭、アシュリー・グラハムで例えると“カーヴィー”といったところ。“ビッグ&トール”に代わる男性の新しいジャンルとして登場した。

 
「ターゲット」の撮影の1日目は自身の体型の大きさに直面し、落ち込みもした。けれども、撮影も2日目に差し掛かると、彼の中から自身の体型に対するマイナスイメージが抜け始めていった。「もうもう少し痩せていたらとかなんて二度と思わない。もう『君はもう少し痩せないと』なんて命令される世界はうんざりだ」。 

 

Happy #nationalpuppyday! Here's #brennerthedog back when he was itty bitty. #dogsofinstagram

Zach Mikoさん(@zachmiko)が投稿した写真 -

 

ザックの妻はザックが役を得るために何度も「もっと痩せなければ、もっと筋肉質な体にならなければ」と語るのを聞いていた。今や彼は男性に対して自身の体型にポジティブなイメージを持たせる代弁者となっている。「誰だって美しい服が欲しいものだし、ファッショナブルになりたいのも同じ。だから、僕たちは(生産者側に)より多くの選択肢を問い続けなければならないんだ。」
 
ザックが契約を結んだことを知らせるSNSがIMG側から発信されるや否や、彼は世界中から「君は美しい!」「あなたみたいな人がモデルだったら私結婚したいわ!」「ようやくこの時代が来た」と業界の変化と、ザックのごくごく一般的な、筋肉質でもスリムでもない“アメリカ人体型”で撮影に臨む姿の美しさを称えるポジティブなメッセージが大量に駆け巡った。

ザック(写真左から2番目)はレオナルド・ディカプリオが主演した映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』やテレビドラマなどに出演している俳優でもあるのだが、この体型のせいで、オーディションに何度も落ち続けていた。

これを受けてザックはこう語っている。「IMGの“Brawn”ディビジョンはファッション界を全ての男性を解放するきっかけになると思う。ファッションは常に変化するものだが、それ以上に進化し続けることこそが重要なんだ」「誰でも、今、この状態で、あるがままで本来美しい。どんな人間であろうとも – どんな体型だろうが、何歳だろうか、何を持っているかどうかなんて関係ない。魅力的で、セクシーであること。そういった美しさは世界中のどこでも通用するんだ」「僕たちはこれまでずっと、美しさはひとつの形しかないと言われて来た。だけど、そんな時代はもう変わりつつある。そう、新しい会話が始まっているんだよ。今や美しさは、ありとあらゆるかたちや種類を備えてきている。モデルになりたければ、今なればいい。お洒落して、写真を撮って、インスタグラムに載せるんだ。そして自分自身のことを語り、今の自分でいることに誇りを持とう。そう、誰が見ているかわからないからね!」

Text : Ryoko Tsukada

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