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PHOTO : JESSE FROHMAN

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ベストショットはパーソナルなもの

E:いちばん好きなショットは?
 
J:写真としてベストワンを選ぶとしたら、全身のショット(1ページ目掲載)。カートのファッション、ロックスター、ポートレート性と、アイコニックな要素が詰まってる。この写真を最初に買ったのはマーク・ジェイコブスだったけれど、みんなこの写真を欲しがったよ。でも、僕個人としてのベストショットは、カートが上を向いて、サングラスに照明の傘が映り込んでいる写真(上)。
 
E:どこが特別なの?
 
J:この写真は彼のパーソナリティや撮影当時の彼が、ほかのどのショットよりも色濃く出ている。撮影時、カートの口は終始半開きだったんだけど、それは僕にとって忘れられない表情。サングラスに映り込んでいる照明の傘も、彼が映り込ませようとしたんだ。そんなファニーでロックスターっぽいビジュアルプレイが写真にヴィヴィッドなカラーを加えてくれた。この写真でカートの目は見えないけれど、彼を取り巻くさまざまな要素が彼の目を表していると思う。決してアップビートな写真ではないけれど、どこか楽観的で希望も感じられる。撮影当時の空気やカートとの時間を思い起こさせてくれるから、個人的なベストショット。
 
E:ジェシーは数多くのセレブリティと仕事をしているけれど、カートはスペシャル?
 
J:そうだね。ヘロインでハイになって撮影現場に現れたセレブはカートぐらいかな(笑)。これまで、多くのセレブを撮影してきたけれど、このカートの写真以外での展覧会は考えられないな。大抵、撮影すると、これがベストワンと納得するカットがあるんだけれど、カートは違った。1枚1枚に意味があって、それぞれに写真としての力もある。ベストショットがたくさんあるってなかなかない。だから展覧会として成立するんだ。さまざまな要素が重なって、アイコニックな写真が撮れることがある。あのときカートがハイでなかったり、口を半開きにした表情をしていなかったら、今回展示している写真は撮れなかったと思う。ほかのフォトグラファーをみても、たった一度の撮影が展示になったりすることは稀有。そういう意味で、僕はラッキーだったと思っているよ。
 
E:カートとの撮影を3語で表すと?
 
J:Don't repeat experienceかな。とてもきつい仕事だったから、正直仕事としては楽しめなかった。う~ん、3語は難しくて、答えられないよ。Beyond wordsだね。言葉では伝えきれない。

  • カート ― ジェシー・フローマン
    開催期間/開催中~2013年3月24日(日)
    開催場所/オープニングセレモニー東京店 5F
    東京都渋谷区宇田川町21-1 西武渋谷店モヴィーダ館
    tel. 03-6415-6700
    営業時間/月~土10:00~21:00 日・祝10:00~20:00

  • ジェシー・フローマン(Jesse Frohman)
    NY在住のフォトグラファー。アーヴィング・ペンに師事。ジェームス・ブラウン、ウディ・アレン、ストロークスほか、多くのセレブリティを撮影。現在『ニューヨーク・タイムズ』やモード誌をはじめとするエディトリアルほか、「バーニーズ」「ソニー」などの広告を手掛けるなど、多岐に渡り活躍中。
    http://jessefrohman.com/

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