軍服から銀幕、そしてランウェイへ。永遠のクラシック、“トレンチコート”の歴史と魅力
2018/02/26(月)
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「バーバリー」の広告(1918年)

歴史を変えた! 2つのブランドが起こした“革新”

今日、トレンチコートがクローゼットの定番アイテムとして君臨しているのは、ふたつのブランドの企業努力の賜物であるといっても過言ではない。ふたつの企業とはもちろん「バーバリー」と「アクアスキュータム」。トマス・バーバリーは1879年、丈夫で耐水性のあるツイル生地”ギャバジン”を考案し、その生地を用いてトレンチコートの原型とされる”タイロッケンコート”の専売特許を1912年に取得。そして遡ること1850年代には「アクアスキュータム」(”遮水”という意味)社が初めて撥水性のコートを開発したことを忘れてはいけない。

トレンチコートを着た4人の男性(1940年)

起源はイギリス上流階級の紳士服
最初にトレンチコートが注目されたのは第一次世界大戦でのこと。しかし、そもそもトレンチコートを愛用していたのはそこから60年近くも前のイギリスの上流階級の紳士たち。スポーツをするときに羽織る上着として、紳士の冒険家を象徴するアイテムだったのだ。それを裏付けるエピソードとして、1907年に冒険家アーネスト・シャクルトンが乗組員とともに南極探検に挑んだ際に彼らを極寒の気温から守っていたのが「バーバリー」のトレンチコートだったというのはあまりにも有名な話。

「バーバリー」のトレンチコートを着たモデル(1981年)

トレンチコートを象徴するディテールは軍服から始まった
1895年、ボーア戦争の際に初めて戦場で着用されたといわれているトレンチコートだが、第一次世界大戦の塹壕戦で将校たちがぶ厚くて重いウール地のコートの代わりにこの”トレンチ(=塹壕)”コートを着たことがきっかけで一気にメジャーな存在へ。「バーバリー」や「アクアスキュータム」によってデザインされたギャバジン、あるいは、その他の耐水性の記事でできたコートは、将校の階級を示すバッジをつけるためのエポーレットや、ボディ部分を防水するためのケープ、軍事用品を下げるためのベルト後ろのDリング、右胸のガンフラップなど、軍服としての機能を備え、ぬかるみのなかでも引きずらないように十分に短い丈と進化を遂げて行った。これらのディテールは今日ではトレンチコートを特徴づけるものばかり。その後、トレンチコートは軍人のみならず、愛国心や軍との連帯感を表掲するものとして一般市民の間でも人気になっていった。

Photo:AFLO,GETTY IMAGES  Translation&Text:NAOKO OGATA

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