トップメゾン「シャネル」とスポーツの歴史秘話
空前のスポーティブームの陰に『シャネル』あり。そういっても過言ではないほど、スポーツテイストを革新的なデザインに落とし込み、繰り返し起用してきたフランスのトップクチュールメゾン「シャネル」。それは、自身がスポーツウーマンであったココ・シャネルの精神そのものが息づいているから……。そんな興味深い事実と、歴史的に貴重なアーカイブ写真、そしてスポーツを通して女性の解放に貢献してきた「シャネル」の先見性を今、ここに公開。これを読めば、確実に知的なトレンドセッターになれること間違いなし!
スポーツ=女性の解放
なぜ、これほどまでに今、スポーティブームが巻き起こっているのか? もしかしたらカール・ラガーフェルドのこんな言葉に答えがあるのかもしれない。「今日、女性はどこに行くにもスニーカーを履く。職場へも、クラブへも……今日において、スポーツとは物事に対する考え方であり、必ずしも鍛錬を意味するものではない―――」。
身体性も精神性も知性をも解放することを女性たちが求めている時代には、スポーティであることが求められる……。それは100年も前から繰り返し「シャネル」が強調してきたこと。そのエッセンスはマドモアゼル自身のこの言葉にも裏付けされている。「女性の味方である私は、彼女たちがリラックスできるような服を作ってあげたかったのです。車を運転できて、それでいてぴったりと体にフィットして女性らしさも強調できるドレスを(註1)」。
タマラ・ド・レンピッカの絵に出てくる凛として自立したアクティブな女性を想起させるようなマドモアゼルの言葉は、今でも、そして今だからこそ新時代の女性像として十分通用するひとこと。アクティブで健康的、そして何より自由を求める女性を支持する精神は、自由で活動的な女性をフィーチャーした2015春夏シーズンのランウェイにもつながるテーマ。これさえ知っておけば、次のシーズンもより深く理解できることは間違いなさそう。
註1:ピエール・ギャラン(1972)『Les Annees Chanel』Mercure de France刊
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