エディターズPICK
2016/06/20(月)
混沌としているからこそ面白い!

激動のモードを読み解く、5つのキーワード

ランウェイショーで見たアイテムをすぐに買えるといった“SEE NOW, BUY NOW”の潮流や、エイジェンダーやセクシャルフルイディティといった新しい価値観、ビッグメゾンのディレクター交代劇……。今、モード界はかつてないほど混沌とした時代に。だからこそ面白い! と語る「ユナイテッドアローズ」上級顧問で、業界のご意見番、栗野宏文さんが、今後のファッションシーンに欠かせない5つのキーワードをピックアップ。このキーワードをもとに、今のファッションの動向を紐解いてみよう。

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左 「ストーリーと完成度が素晴らしかった」と栗野さんが絶賛する2016-17秋冬「ドリス ヴァン ノッテン」のランウェイショー。 右 エディ・スリマンのラストコレクションとなった2016-17秋冬「サンローラン」。「エディが、ムッシュ・サンローランにここまで愛(LOVE)を捧げたショーは見たことがない」と栗野さん。

Keyword 2

欲望の深度と対象の磁力

変革の渦中にある今シーズン、改めてファッションの意味を考えたという栗野さん。栗野さんの考えるファッションとは?
 
「そもそもファッションとはカルチャーであって、何か創作行為に対して人を感動させてお金を得るということだと思う。今はインターネットやSNSで、誰でもタイムリーにショーが見られる時代。でもランウェイショーは、ブランドが時間をかけて作り上げてきた作品を、そのコンセプトや世界観を含めて発表するステージなんです。別に物欲をもってファッションショーを見るのは構わないと思うんだけど、物欲のために見るということになると、それはとても下世話な状態。物欲のためのランウェイショーは、カタログと同じですよ」
 
とはいえ、SNSでショーを目にした人が、実際に商品を手に取れるのは半年後、という状態はある意味ストレスフル。「デートしようねって言ってるカップルを半年待たせたとする。熱が冷めちゃうのか、それでも思いを募らせるのか――それと同じで、半年待っても買いたい、欲しいと思うってことは、それだけ欲望の深度が深いということ。それは、対象の磁力も強いということだから、完成度が高かったり、生地やデザインが凝っていたり、これは待ってでも買う価値があるなと思わせるものだと思う んですよね。それは、少なくとも、そういうものを作ろうと思ってモノづくりをしない限り、人を感動させるものはできないですよ」

  • 栗野宏文さん

    Hirofumi Kurino/「ユナイテッドアローズ」 上級顧問
    「ユナイテッドアローズ」にてバイイングやブランドディレクションに携わり研鑚を積み、現在は上級顧問・クリエイティブディレクションを担当。ファッションや文化を読み解くジャーナリストとしての一面もあり数々の媒体で取材・寄稿も行う。日本のファッションカルチャーを担うひとりである。
    http://www.united-arrows.co.jp

Photo: Imaxtree, Getty Images

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