インタビュー 2013/5/14(火)
女性社長にインタビュー:仕事も人生も「”今”でしょ!」

売上高“日本トップ”の女性社長が語る“女性がパワーを持つメリット”【後編】

ますます女性の知性とパワーがトレンドとなっている今、女性が社長である企業の中で売上高トップを誇る「日本トイザらス」のモニカ・メルツ社長にインタビューを敢行。アパレル業界からキャリアを始めたという彼女に、エル・オンラインがask! 女性がリーダーになるメリットについて聞いてみた。

Photo : Kaoru Aoki

男性都合で女性社員が辞職の危機。そのときしたこととは?(前編からの続き) 

 

――夫に「会社を辞めてほしい」と頼まれた女性の話が出てきました。その夫の発言自体に問題があるのだと思ったのですが……。自分都合で女性の働き方を左右しようという、男性のそういった思考を改革しないといけないのではないでしょうか。そこでお聞きしたいのは、男性のリーダーにこれから必要とされる資質や考え方は何だと思われますか?

 

(笑)でも、私は既に若い男性の姿勢は変わってきているのだと感じていますよ。2人で働いたほうがダブルインカムなわけですから、可能性が広くなることは皆知っているでしょう? なかなか男性が急に考え方を変えるというのは難しいかもしれません。ただ私がよく男性に言うのは「もしあなたに娘さんがいるとします。そうしたら、あなたは彼女にどんな夢をもって欲しいですか? どんな人生を送って欲しいですか? そういう視点で女性の立場を見直して欲しい」ということです。

私の両親もカナダへの移民で、共働きでした。妻、夫両方が働くことが当たり前のものとして育ちました。妻が働くということは、家庭でのヘルプが必要になってくる。そうなると必然的に夫も家庭にかかわらざるを得なくなる……。先ほどの「会社を辞めてほしい」と妻に頼んだ男性(※前編参照)ですが、実は(従業員である)妻だけでなく彼のことも個人的に知っていたので、「なるべく彼女に働きやすいようにするから」と私が説得しました。彼女も仕事が大好きでしたから、辞めずにいてくれました。

 

日本の状況を新聞などでよく読みますが、女性の職場復帰を妨げているひとつの大きな要因は、保育園など子どもをケアしてくれる環境の不十分さです。たとえば男性が妻をサポートしたいといざ思っても、保育園に入れることが難しいと聞いています。香港で会った北米の人たちはナニー(子守)を雇うことも比較的簡単にできると聞きました。まあ、これはそもそも家が大きいのでナニーの部屋を用意できるといった(物理的)可能性が高いからとも言えますが、ただ、日本の政府は保育園などの提供を加速させないと、せっかく男性が女性に協力的になっても、それによって妻が仕事を諦めざるを得ないという状況があると思います。

 

――待機児童の問題などあると思いますが、保育施設の問題以外に、日本の女性のキャリアアップを妨げている他の要因を、気づいたものがあれば挙げていただけますか?

 

よく女性たちに話を聞くのですが、男性上司がなかなか上に行かせてくれないとか、女性の昇進を難しくしているということは確かによく耳にしています。日本だけではなく“ガラスの天井”はどこにでもあるものだと思いますが、特に、日本では多いような気がします。私は米国商工会議所で、女性リーダーたちの委員会のチェアマンをしているのですが、そこで日本女性の状況を話し合う場を設けています。個人的には“ガラスの天井”を経験していないので、いろいろな人の意見を吸い上げて、統計などを鑑み話し合いを定期的に行っているのです。

そこで有能な女性のリーダーたちと知り合うのですが、「これだけいるべき」と期待している数よりも格段に少ないのです。

 

――「日本トイザらス」の産後復帰率はどれくらいですか? 女性が職場に復帰するメリットは何ですか?

正社員の産休・育休後の復職率は65.4%、正社員の女性比率は31.4%です。戻りたい希望の女性は、元のポジション、給与をキープするようにしていますが、実際は復帰する際にポジションや給与の変更を希望する女性が多いです。今、我が社はベビーブームなんですよ(笑)。だって我社は「ベビーザらス」もやっていますので、どんどん赤ちゃんが生まれてくれないと!(笑) 私たちは女性社員に本当に戻ってきて欲しいんです。彼女たちが、いい“顧客”としての視点を持ってきてくれるわけですから。しかも会社のことをわかってくれているので、イチから覚える人を雇うよりも全然いいですから。

 

→女性が働き続けるメリットは次ページで

  • モニカ・メルツ(日本トイザらス 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO))

     

    【生年月日】1949年5月13日 カナダ出身

     

    【略歴】

    1971年 「タウン・アンド・カントリー・レディース・リテーラー」入社
    1981年 「ハドソン・ベイ・カンパニー」入社
    1991年 「プライス/コストコ」入社
    1993年 「コンシューマーズ・ディストリビューティング」の宝飾品部門バイス・プレジデントに
    1996年 「トイザラス・カナダ・リミテッド」入社
    2000年 「トイザラス・カナダ・リミテッド」プレジデント兼マネージング・ディレクターに
    2007年 「日本トイザらス株式会社」最高経営責任者(CEO)に
    2011年 「日本トイザらス株式会社」CEO兼「トイザラス アジア・パシフィック」社長に就任

1 / 4
1 2 3 4

MORE TOPICS

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へインタビュー一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト