【1960年代編】永久保存版!伝説の女優クロニクル
2017/07/15(土)
> <

8/8

ゴダールの『はなればなれに』。カフェでマディソンダンスを踊るこの場面は、ルーブル美術館でのゲリラ撮影と並ぶ名シーン。『パルプフィクション』のダンスシーンに影響を与えたことでも有名。

aggiiiiiii's EYE

ヌーヴェルヴァーグの主人公ふたりに、世界はこう見えるのだ!

 高校生のある夏、キャンプに出かけたときのこと。山の頂上で Y 子と並んで M 君に写真を撮ってもらったのだけれど、現像されたもの(当時はまだフィルムの時代である)を見て驚いた。二人しか写っていないのに、フレームの中央にはまっすぐに Y 子が据えられ、わたしは完全に添えモノのように端に追いやられていたのだ。そのとき M 君の Y 子に対する気持ちに気がついたし、「ああ、彼には世界がこのように見えているのだなあ」とおもしろく思った(M 君にそれほど興味がなかったゆえの余裕)。
 
 で、ゴダールとカリーナである。恋愛関係のまっただなかに撮影された『女は女である』の「子どもがほしいの。24時間以内に」上目づかいをパチパチさせるシーンを例にあげずとも、ゴダールのフィルターを通して観るカリーナのかわいらしさはもう天井知らず、最上級のレベルだ。『はなればなれに』で主役の三人がダンスを踊るシーンなど、正直カリーナしか目に入ってこない。あとの二人はおまけである。ゴダールにはきっと世界がそのように見えていて、カリーナはだれよりも自分の魅力を知る人に最高の瞬間を撮ってもらっている。そう、そこにあるのはしあわせの Win-Win だ。そんな関係からうまれた作品は、なぜだか他人の目から見てもとても興味深い。ほら、最近では夫さんが撮る安達祐実の写真が話題になったように。

文・選 aggiiiiiii(ジン『KAZAK』編集、発行人)
Photo: AFLO、GETTY IMAGES

  • aggiiiiiii
    アギージン『KAZAK』編集、発行人。写真家コリーヌ・デイのファンジンや、ソフィア・コッポラ監督作『ブリングリング』のオフィシャルファンジン、「わたしたち世代のフェミニズム」などをテーマに発行している。http://kazakmagazine.blogspot.jp/

  • 『エル・ジャポン』8月号をチェック!
     
    今月号のエルは、1冊まるごと映画特集! 時代を超えて人々を魅了し続ける1950年代~現在までの女優たちを映画通が語る“伝説の女優クロニクル”や、スクリーンのなかのヒロインからおしゃれを学ぶ“おしゃれ映画で着こなしレッスン”、“下半期に見るべき新作シネマ”など、映画ファンならずとも永久保存版の一冊。そのほか、“相棒ウォッチの選び方”、“夏のビューティTIPS”、“台湾2泊3日10食の旅”など、さまざまなトピックスが目白押し。

    購入・詳細はこちらから

MORE TOPICS

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へ特集一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト