オスカー直前! まだまだある、賞レースで輝いた今こそ見るべき話題作
2018/02/27(火)
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脚本賞にノミネートされた嘘のような実話『ビック・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』

まずは1本目、『ビック・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』は、主演、共同脚本を手がけたクメイル・ナンジアニの身に起こった奇妙で素晴らしいドラマをベースにしたヒューマン・コメディだ。
 
幼い頃、生まれ故郷のパキスタンを離れ、家族とともにアメリカ、シカゴに移住したクメイルは、弁護士になって欲しいという両親の願いに反して、コメディアンを目指している。そんなある日、彼のギグを見に来ていた大学院生のエミリー(『ルビー・スパーク』で人気となったゾーイ・カザンが演じている)と出会い、付き合い始める。けれど、クイメルには、エミリーを家族に紹介できない事情があった。厳格なイスラム教との両親は、パキスタン人の女性とのお見合い結婚以外許さないのだ。実家に帰る度に、母親からお見合い写真を押し付けられるが、心優しいクメイルは真っ向から母親に刃向かうこともできない。が、ある時、エミリーがお見合い写真を見つけ大喧嘩になり、ふたりは別れてしまう。

 

だが、ほどなくしてクメイルの元に、エミリーの同級生からエミリーが緊急入院をしたので付き添って欲しいと電話が入る。いつ覚めるともわからない昏睡状態の元カノに、彼女の両親とともに付き添いながら、クメイルは、自分の人生に大切なものに気づかされていく……。
文化や宗教の違い、ジェネレーション・ギャップ、恋愛、結婚などクイメルが直面する問題は、普遍的で、移民問題や国際結婚などを身近に感じてない人でも、いろいろ考えさせられることばかり。
 
が、かなり深刻なテーマがてんこ盛りで、さらにヒロインが昏睡状態というシリアスな状況にもかかわらず、この映画のトーンはユーモアに溢れとっても明るい。観終わった後に、なんだか温かい気持ちになれるのだ。派手なキャストでもなく、小規模で公開されたにもかかわらず、口コミで広がり、全米で大ヒットしたというのもうなずけます。
 
アカデミー賞では脚本賞にノミネートされているけれど、こんな物語はなかなか想像では書けないかもしれません。

Text: Atsuko Tatsuta

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