ますます進化する早熟の天才、グザヴィエ・ドランの最新作が公開!
昨年公開されたラブストーリー『わたしはロランス』とは打って変わって、新作『トム・アット・ザ・ファーム』では、閉ざされた土地で展開する人間模様を緊張感たっぷりに描いたグザヴィエ・ドラン監督。“アンファン・テリーブル(恐るべき子ども)”とも称されるドランの、進化し続ける早熟な才能を余すところなく堪能して!
狂気と官能が立ちこめる、珠玉のサイコサスペンス
去年、第3作目である『わたしはロランス』(2012年)が公開されて以来、日本でも徐々に人気が高まっているカナダの新鋭グザヴィエ・ドラン。19歳のときに衝撃のデビューを飾った『マイ・マザー』(2009年)、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映され話題となった第2作『胸騒ぎの恋人』(2010年)と続けて過去作品も上映され、弱冠25歳にしてすっかり映画ファンの間では、“次作が期待される監督”リストの上位に位置するようになった。
若くして映画監督となっただけでなく、自らも脚本を書き、主演も果たす作家タイプで、しかも美青年! まさに10年にひとりの逸材だ。そんなドランの新作『トム・アット・ザ・ファーム』(2013年)が公開される。これは、去年9月のヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、国際批評家連盟賞を受賞した作品だ。
交通事故で急逝した同性愛の恋人ギョームの葬儀に参列するために、彼の母親アガットと兄フランシスが住む農場を訪れた主人公トム(ドラン)は、ギョームが同性愛者だと知らない母親を傷つけたくないフランシスから暴力的な圧力をかけられる……。
次第に追いつめられていく主人公の複雑な精神状態を追った、珠玉のサイコサスペンスである。行き場のない殺意に似た狂気と狂おしいほどの官能。霧の立ちこめる農場を舞台にした、ある種「密室劇」は、まるで最盛期のクロード・シャブロルを彷彿させる。
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『トム・アット・ザ・ファーム』
監督・脚本・編集・衣装/グザヴィエ・ドラン
出演/グザヴィエ・ドラン、ピエール=イヴ・カルディナル、リズ・ロワ
配給/アップリンク
公式サイト/http://www.uplink.co.jp/tom/
2014年10月25日(土)~、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンク、テアトル梅田ほか全国順次公開
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text : Atsuko Tatsuta