セレブコラム 2014/3/28(金)
立田敦子のセレブBUZZ/『とらわれて夏』『おとなの恋には嘘がある』

“過去”があるからこそ輝ける、大人の恋愛映画

若いころは、人との出会いは無限に思えても、歳を重ねるにつれ、大切な出会いはそうそうあるものではないと気付くもの。人生を諦めかけていたシングルマザーと脱獄犯の純愛ストーリー『とらわれて夏』(5月1日公開)と、バツイチ同士の恋愛をリアルに描いた『おとなの恋には嘘がある』(4月4日公開)の2本で、大人の恋愛事情を学んでみて!

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人生を決定的に変えた5日間の恋

10代、あるいは20歳そこそこの若いときは、人との出会いは限りなく続いているように思えるものだ。まだ、理想の恋人と出会っていないだけ。そう思って、煮詰まった恋を結構簡単に捨てたりもできる。けれど、歳を重ねるにつれ、短い人生において“出会い”はそんなにたくさんあるわけではないことに気づくのだ。
 
『とらわれて夏』は、“出会い”どころか人生をほとんど諦めかけているような、孤独な主婦に訪れた運命的な出会いの物語である。舞台は1987年のアメリカの小さな町。「レイバー・デイ=労働者の日」の祝日を控えたある日、13歳の息子ヘンリーと暮らすシングルマザーのアデルは、脱獄犯のフランクと遭遇し、家に匿うはめになる。心に傷を負う孤独な主婦と、取り返しのつかない罪を背負い、深く傷ついた男。そんなふたりは、まるでせきを切ったように惹かれあっていくのだった。誰も知らないところに行って、人生をやり直したい。思いがけない運命的な出会いに、新たなる希望を持つふたりに、追っ手の影が忍び寄る……。
 
これは、たった5日間の、人生を決定的に変えてしまうほど強烈な恋に落ちた男と女の、大人のラブスートーリーだ。一度きりの運命的な出会いといえば、メリル・ストリープ主演、クリント・イーストウッド主演&監督で大ヒットした『マディソン郡の橋』が思い出される。主人公たちの恋は、ゆきずりの情事にも見えなくもなく、メロドラマチックでもあるのだが、『マディソン郡の橋』があれほど多くの人々の心を動かしたのは、瞬間的にすべて変えてしまうような出会いや恋を、人々が信じているからに違いない。
 
『とらわれて夏』にも、そんな人生の“奇跡”が描かれている。初恋の純真さは美しいけれど、人生の苦さを噛みしめた大人たちが、それでも優しさを集めて、想い合う純粋さはもっと美しい。この物語は、13歳の息子ヘンリーの視点で描かれることもポイント。孤独だった母親が愛を取り戻していく様子を複雑な心境で見つめる純粋な少年の心の揺れが、心を揺さぶる。主演は、実力派女優ケイト・ウィンスレットとジョシュ・ブローリン。このふたりのパフォーマンスは文句のつけようがないが、さらに賞賛すべきは監督のジェイソン・ライトマンである。『JUNO/ジュノ』、『マイレージ、マイライフ』などの感動作を世に送り出している若き気鋭監督。今後も注目したい逸材です。

  • 『とらわれて夏』
    監督・脚本/ジェイソン・ライトマン
    出演/ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン
    配給/パラマウント ピクチャーズ ジャパン
    公式サイト/http://www.torawarete.jp
    2014年5月1日(木)~、TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー

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text : Atsuko Tatsuta

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