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熟して黄色くなると苦くて口にできないアルガンだが、青い果実の仁は、ジュースをふんだんに含むクリスタルのようなみずみずしさ。数世紀にわたり、この実が「砂漠の水」として人々を生かしてきた。
 
現代においては、モロッコ女性たちの自立を支えるアソシエーションでのアルガンオイル作り。一切のポリューション(公害)を発しない、人の手による高品質オイル生産として注目を集めている。

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あらゆる生命を生かすアルガンの恵み

世界で唯一アルガンが育つモロッコ南西部の大西洋沿岸は、夏は気温50度を超え、ほとんど雨が降らない過酷な砂漠地帯。それでもこの地が完全に砂漠化しないのはアルガンのおかげといわれる。「5年間、一度も雨が降らなくてもアルガンは枯れない。乾期には葉を落とすことで木の水分の蒸発を防ぎ、その葉を家畜に与えることで我々は生きる」と教えてくれたのは、オマールさん。「青い実は水分を豊富に蓄えた仁を内包し、森での水分補給に食べることができる。葉が含む白い汁は、傷や炎症など皮膚のトラブルに効く」。過酷な気候条件の土地で、人や動物の生命を支える生きるオアシス、それがアルガンだった。「一億年前からこの地にあった木なのです。丹念に手入れをすれば300年生きる、命のパワーに溢れる木なのです」。
  
20世紀の森林破壊で一度は絶滅の危機に瀕していたアルガン。ユネスコがこの一帯をアルガンの生物圏保護区に指定したこともあり、今ではアルガンの植生が砂漠化を食い止める役割を担う。自然環境のみならず、地域の女性たちの社会環境も支える21世紀のアルガン。その恵みが、遠く離れた私たちをも潤してくれる時代になった。

  • [アルガンオイル作りを公開している工房]

    Assaisse Ouzeka アッサイス・ウーゼカ

    Sidi Ashmed Km 22 Route Essaouira-Agadir
    tel. +212 (0) 6 61 25 79 67
    公開時間/8:30~12:00、14:00~18:30 無休
    英語OK
    http://www.argan-assaiss-essaouira.com/

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photo: Hiro Itsushima   text: Chiyo Sagae    coordination: Shoko Okamoto  

special thanks: Rose de Marrakech

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