特集 2016/2/25(木)
空飛ぶソムリエールのワイン・ダイアリー from Finland/HANA

ヘルシンキ発の“自然派”ノルディックフードをワインとペアリング

連載「空飛ぶソムリエールのワイン・ダイアリー」では、各国エアラインのソムリエ資格を持つキャビンアテンダントたちが、ご当地ワイン事情をレポート! 今回は、フィンランドの首都ヘルシンキへの直行便を担当するフィンエアーのHANAさんが地元っ子たちがこぞって集まる隠れ家スポットをご紹介。観光客が集まるエリアから少し離れるだけで、ぐっとおしゃれでグルメな店があるそう♪

次にご紹介したいのは、地下鉄で中央駅から3つ目のSörnäinen(ソルナイネン)駅から徒歩5分ほどの場所にある隠れ家的ワインバー「KOMBO WINEBAR & KITCHEN(コンボワインバー&キッチン)」。こちらのレストランはKallio(カッリオ)地区と呼ばれ、ヘルシンキ中心部からハカニエミ港の橋を渡った北に位置します。もともと労働者が多かった場所ですが、最近では学生やアーティストが住み始め、若手のデザイナーのブティックなどの個性的なお店が増えている地区。ボヘミアンな雰囲気が漂うこのエリアは、いわゆるNYでいうソーホーのような、フィンランドっ子たちにとってトレンディでヒップな場所なんです!

小さな入り口から店に入ると、陽気なスペイン人オーナー、クリスチャンさんが迎えてくれます。「KOMBO WINEBAR & KITCHEN(コンボ ワインバー アンド キッチン)」は、クリスチャンさんとフィンランド人の奥様シニさんが経営する、いまフィンランドで流行りの“タパス”スタイルのレストラン。メニューはもちろん、タパスのみで、「SMALL(6ユーロ)」、「MEDIUM(9ユーロ)」、「DINNER(14ユーロ)」、「BIG(18ユーロ)」から選べます。ワインは、クリスチャンさんがセレクトしたヨーロッパのワインがメインで、珍しいモロッコのワインなどもありました。
「多くのフィンランド人は自然なもの、オーガニックなものをリクエストすることが多いので、自然派ワインやビオディナミワイン中心にセレクトしています」とのこと。頻繁にワインのセレクションを変えているので、常連のワインラヴァーたちが足しげく通うのも納得。また月に1回、ワインのテイスティングのイベントも行っているそうです。ワインはグラスでも4種類のサイズから選べるのも、この店のユニークなところ。「8cl(80cc)」、「12cl(120cc)」、「16cl(160cc)」、「24cl(240cc)」のほか、もちろんボトルでもオーダーできます。
 
では、お料理を紹介しましょう。ゲストの大半がこのサイズを注文することが多いとのことだったので、「DINNER」サイズをオーダー。6種類の盛り合わせで、スペイン料理とフィンランド料理のミックスをメインにお願いしました。ここでは、たとえば「ゴートチーズ抜きで」など、好みを伝えたり、ビーガンやグルテンフリーなどの要望も気軽にお願いできるのがうれしい。この日隣り合わせた6人組のグループは、同じ「DINNER」サイズでも、6人6様のオーダーをしていたのが印象的でした。さて、運ばれてきたのは、スパニッシュオムレツ・アリオリソース添え、ナスのラム肉詰め、ビーツとゴートチーズ、ザクロとスペルト小麦のサラダ、ヒヨコ豆のアーモンドペスト&モッツァレラ、チョリソーのアップルサイダー漬け。まさにスペインとフィンランドのフュージョン料理というラインナップ。どれもとてもおいしく、ボリューミーなので、大満足です。 

クリスチャンさんにおすすめしてもらった白ワインは、アルザスの「Domaine Albert Mann PINOT BLANC AUXERROIS(ドメーヌ アルバート マン ブラン オーゼロワ)」(8cl 4.40ユーロ/ボトル 38ユーロ)。ビオディナミワインでピノ・ブラン主体の香り豊かな白ワインです。シトラス系の香りにりんごやわずかにはちみつやこしょうのニュアンスがあり、サラダや卵料理とナイスマッチ。また赤ワインは、フランス・ラングドックルシヨンの「Les Herbes Hautes by Jeff Carrel CORBIERES(レ エルブ オート バイ ジェフ カレル コルビエール)」(8cl 4.40ユーロ/ボトル 38ユーロ)。エチケットが素敵なオーガニックワインで、カリニャン主体のライトな赤。若々しく、カシスや軽いスパイスを思わせる香り。シルキーなタンニンで全体のバランスが良いワインでした。
フィンランドは酒税が高く、レストランで飲むのはコストがかかるため、家飲みを好むフィンランド人ですが、ここは中心部と違ってかなりリーズナブル。そして、フレンドリーであたたかいクリスチャンさんの人柄も、ローカルのゲストたちに愛されてやまない理由なのでしょう。観光地からあえて足をのばして(といっても数駅ですが。東京にくらべるとヘルシンキは小さな町なんです)、気さくな店で食事を楽しめれば、ヘルシンキっ子になった気分をもっと味わえるはずです!
 
最後に……。実はフィンランド人は晩ごはんのスタート時間が早く、食事が終わったらささっと席をたって家路につきます。レストランで長々とおしゃべりを楽しむことは稀で、寒くて長い夜は、自宅でゆっくりと過ごすのです。 そんな食後の家飲みにおすすめなアイテムも、ご紹介させてください。

無農薬クラウドベリー、LAKKA(ラッカ)を使った「フォーティファイドワイン」です。クラウドベリーは、ホロムイイチゴと呼ばれる北極圏で取れる希少なベリー。それを原料にした、いわゆるデザートワインです。こちらは、ヘルシンキ空港内のショップでも販売している「Lignell&Piispanen(リグネル&ピースパネン)」のもの(13.95ユーロ)。エチケットも北欧的でかわいいので、お土産にもおすすめです。そんなデザートワインのおともには、フィンランド料理の伝統的なチーズ「レイパユースト」(3.45ユーロ)を合わせてみて。フィンランド語で“leipä”はパン、“juusto”はチーズを意味し、焼かれた焦げ目がついた平たい円盤状のチーズです。噛むと「キュッ、キュッ」と音がしそうな弾力のある食感が特徴。フライパンで温めて、ベリーのジャムをのせて食べるのがフィンランド流です。こちらは、だいたいどこのスーパーでも手に入りますので、こちらもお土産リストにぜひ!  
 
それでは皆さん、自然の恵みを感じにフィンランドにぜひ一度お越しください! Kippis(乾杯)!

  • HANA●フィンエアー客室乗務員
    日本(東京、大阪、名古屋、2016年5月から福岡就航)とヨーロッパを最短最速でつなぐフィンエアーでヘルシンキ便を担当する、空飛ぶソムリエールの一人。今まで訪れた国は4大陸35カ国175都市。自然派のワインや食に興味を持ち、2014年に日本ソムリエ協会ソムリエ呼称資格を取得。世界での食べ歩き、おいしいワインを探し求める旅はまだまだ続きます。

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  • 「SINNE HELSINKI」
    Eerikinkatu 2, 00100 Helsinki
    tel. 010-3228-147
    営業時間/11:00~00:00(ガーデンは、~14:00、17:00~00:00)、土曜は13:00~(ガーデンは17:00~いづれも22:00L.O.)
    定休日/日曜、月曜
    http://www.sinnehelsinki.fi/en/
     
    「KOMBO WINEBAR & KITCHEN」
    Kulmavuorenkatu 2, 00500 Helsinki
    営業時間/17:00~00:00
    定休日/日曜、月曜、火曜
    問い合わせ先/kombowinebar@gmail.com
    http://www.kombowinebar.fi
    *予約はEメールかfacebookメッセージで。日曜はワインテイスティングイベントを開催することもあり。

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