マレー半島に位置するマレーシアは、原住民のマレー系の他、移民として訪れた中国系、インド系などが混ざりあった多民族国家。食も然り。各民族が独自の食文化を守りつつ、融合して生まれた料理は数知れず。マレーシアにはカレーと呼ばれる料理が多く存在するなか、専門店で食べる異色のカレーが「フィッシュヘッドカレー」である。魚の頭が丸ごとはいったこの豪快なカレーは、インド人が生みだし、その後中国系の人たちも作るようになったとか。なるほど、使われるスパイスを見れば一目瞭然。八角が！　ほのかな酸味が感じられるのはタマリンド。まろやかなコクはココナッツミルクによるもの。レモングラスなどを潰して作る自家製カレーペーストにインド系カレーに使われるスパイスたち。いやはや、これだけ材料が入っているとはなんと手が込んでいること！　繊細な味というよりは、深い味という印象を受けるワケである。中国系マレーシア人の料理人が手掛ける料理は、化学調味料を使わない“おふくろの味”。ソースも自家製にこだわり、特にマレー料理の味の要となる「サンバル」は秀逸だ。連日常連客で賑わうため、訪れる際はぜひ予約を！