潔く深い滋味に魅せられる20年来のスペシャリテ
ラ・ブランシュ/La Blanche
「フランス料理に真剣に向き合おうとするほど、自分が日本人であることを強く意識するようになる。そこに悩み、葛藤するなかから生まれたのがこのイワシとジャガイモの重ね焼きです」。蒸したじゃがいもといわし、トリュフオイルを重ねオーブンで焼き上げる。じゃがいもはほっくりとして甘く、いわしやトリュフの旨みが染み込んでいる。曰く「肉じゃがのような料理だね」。多くのフランス料理人が異国の文化をいかに忠実に再現するかに腐心していた四半世紀前、日本の食材を活かし、季節の息吹を皿に込める田代流フレンチを確立。店は28年目に入り、田代和久シェフは64歳になったが、士気も、それが注ぎ込まれた料理も衰えることはない。「食材に対する情熱がある限り料理を作っていたい。もっと旨く作れる、作りたい。いつもそう思うから」
この店を愛してやまないのは「ラ・クープ・ドール」のシェフ、坪香絢也さん。「私が駆け出しの頃から第一線で活躍されている田代シェフ。『イワシとジャガイモの重ね焼き』は、想像をはるかに超えた味でした。身近な食材でも手のかけ方次第で驚くような料理になると教えてくれたひと皿です」
SHOP INFORMATION
ランチ/12:00~14:00L.O.,ディナー/18:00~20:30L.O.
水曜、第2・4火曜
photo : Yoichiro Kikuchi text : Kei Sasaki