フレンチのジャンルを超え味覚と思考で味わう無二の皿
ハジメ/HAJIME
「料理を作るとき、最初に考えるのは何の素材を使うかよりも、何を伝えるか、なんです」と米田肇シェフ。今や看板メニューとなった「chikyu 地球」は、地球上で行われる“循環”を表現。調理法を変えた約100種もの野菜を60cmの大皿に並べ、貝エキスのエスプーマを雲のようにのせたプレートはため息が出るほど美しい。2008年に現店をオープンし、'10年にミシュランの3ツ星を獲得。'12年に“ 自分が表現したい料理”に特化しようと、店からフランス料理の冠を外した。緻密に計算された技巧と、生物学や脳化学、宇宙科学などを通して独自の美意識、哲学を料理へと昇華させ、食べる者の味覚のみならず思考をも刺激する。「食べることは自然を身近に感じられること。料理で地球に生きている幸せ、希望を伝えられたら、僕がやっていることも意味がある」。
この店を推すのは、「ワインショップ&ダイナーFUJIMARU」オーナーの藤丸智史さん。「料理が芸術の域まで到達している特異な皿。HAJIMEの“地球”に出会ってからは料理にはおなかを満たすこと以外にも役割があるんだと思うようになりました。絵画のような美しさに、一瞬でなくなってしまう“儚さ”が加わり、シェフが今、何を考えてこの皿を作ったのかを読み解こうと、私を無言にさせる。唯一無二だと思っています」。
SHOP INFORMATION
17:30~20:30(入店)
不定休
photo : Kunihiro Fukumori text : Yumiko Takayama