特集 2015/4/20(月)
世界のおやつ from Seoul/びび언니(オンニ)

韓国セレブにも人気! かわいらしい伝統菓子「韓菓(ハングァ)」

日本より冬が長い韓国にもやっと春が訪れてきました。韓国の春は短く、この時期は家族や友人と連れ立って河川敷や山へと出かけて春を楽しみます。さて、今回はお花見にも持って行きたくなるかわいらしい「韓菓(ハングァ)」をご紹介します。

韓菓はその字の通り、韓国の伝統菓子のこと。もともとは宮中で行われる儀式の供え物でしたが高麗時代に茶文化と共に発達してきたんだそう。米を発酵させたものや果物、木の実、根菜などが多く使われています。素材そのものを生かし、体にやさしい韓菓。普段のおやつとして食べられているものから、祭礼(日本の法事のようなもの)など特別な時に食べるものまでたくさんの種類があります。

普段のおやつの代表格が「油菓(ユクァ)」。祭礼にも欠かせない油菓は伝統茶のお茶うけとして出されることが多いので、食べたことがある人も多いのでは? 気軽なおやつなので簡単に作れそうに見えますが、実はと~ても時間がかかるんです。1~2週間水に漬けて発酵させたもち米を餅状にした後、薄く平らにのして2~3日乾燥させます。それを切り分けたものを油で揚げて、シロップをからめた後にごまなどをまぶすと出来上がり。サクッとした軽い歯触りで、シロップの程よい甘さが後をひきます。

写真左は、なつめや栗、しょうがなどをはちみつなどで長時間煮つめた後、再び同じように形づくる「熟実菓(スクシルクァ)」。素材のエキスがぎゅっと詰まった濃厚な味で、ヌガーのような食感です。写真右は、炒った豆やゴマを粉状にしてはちみつを練り込み、木型で抜き固めた「茶食(タシッ)」は、お茶によくあう茶菓子。かわいらしいいろいろな型があり、落雁のように食べるとほろっとくだけ、香ばしい味わいです。

韓国のセレブたちがおもたせに利用しているという宮中式韓菓と伝統茶が味わえるお店が、若者の街・大学路(テハンノ)にあると聞いて行ってきました。100以上の小劇場が集まる大学路のメイン通りから少し歩いた静かな場所に「茶味斎(タミジェ)」はあります。店内は木を基調にした落ち着いた雰囲気で、オーナーが厳選したさまざまなお茶のコーナーも。

「正菓」(左上からきゅうり、金柑、しょうが。中央はキキョウの根。左下からりんご、みかん、れんこん) 各2,000~5,000ウォン

ここで作られる韓菓は見た目も美しい正統派韓菓。「正果(チョングァ)」は下ごしらえをした材料を水あめのようなもので煮て、砂糖をまぶして乾燥させたものです。素材本来の味が損なわれず、金柑などの果物はゆっくりと煮詰めることで味が凝縮されていくようです。きゅうりはまるでメロンのような味わいに。あらゆる疾患の予防になるというききょうの根とれんこんはクセがなく食べやすく仕上がっています。

写真上:「薬菓」 1,500ウォン、写真下:「カンジョン」(左から エゴマ、白ゴマ、黒ゴマ) 3,000ウォン

「薬菓(ヤックァ)」(写真上)は小麦粉にごま油とはちみつを練り合わせた生地を、パイを作る要領で何度も折り重ねて型で抜き油でじっくりと揚げて、シロップに一晩漬けこんだもの。しっかりとしたパイとボーローの中間のような食感で、見た目よりあっさりしています。日本のおこしに似ているのは「カンジョン」(写真下)。白と黒ごまはなつめとかぼちゃの種、松の実を一緒に蜜で固め、えごまにはなんと小さなイワシが練り込まれています。どれも香ばしくて、つい手が伸びてしまいます。

「発酵茶」  8,000ウォン

こちらではお菓子に合わせてお茶も選んでいただけるということで、私が選んでもらったのは発酵茶。野草が自生していることで有名なチリ山の野生茶葉を発酵させたもので、免疫力を高める効果があるそう。やわらかな口当たりで、後口はさっぱりしています。

オーナーのチャン・ヒャンジンさんは薬膳料理家。以前は大学でお茶を教えたり、雑誌に薬膳料理のコラムを書かれていたそうです。「昔からお茶は薬と言われるように、自分に合ったお茶を毎日飲むことで健康を保つことができます。食べ物は旬を大事にして、添加物などを加えずきちんと調理したものは、体が欲している美味しいもの」と、まさにスローフードを実践されています。茶味斎ではレストランも併設してあって、山菜寿司が味わえる菜食コース(要予約)をお目当てに訪れる人も多いのだとか。またご自身が培ってきたものを伝承したいと、お茶と伝統菓子の教室も開らかれています。
 
茶味斎のゆったりとした空間で、体も心も癒されてみませんか。

  • 茶味斎
    ソウル市鐘路区明倫洞4街188-12
    tel. +82-02-744-8090
    営業時間/11:30~21:00(食事は11:30~14:00、17:30~20:00)
    定休日/日曜
    http://www.damijae.com/

  • びび언니(オンニ)●編集者時代は取材のかたわら、おいしいものを求めてひたすら食べ歩き。20年ほど前から韓国に通い、現在ソウル在住。韓国料理の奥深さを探究すべく、韓国でも食べ歩き修行続行中。愛猫と日向ぼっこしながら、本を読むのがリラックスタイム。

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