特集 2016/10/17(月)
世界のおやつfrom Helsinki/歌野嘉子

ノスタルジックな味わい! フィンランド発の根菜スイーツって?

太陽が輝く夏が終わり、新鮮な野菜やみずみずしいベリーとは、しばしお別れの季節。そんな今こそ出番なのが、定番食材の根菜です。秋のフィンランドは、知られざる根菜スイーツの宝庫。ゆっくりと過ごすお茶タイムに欠かせない、とっておきのおやつをご紹介します。

さて、根菜スイーツの話題で避けて通れないのが、「じゃがいもペストリー」。名前だけ聞くとなんだかギョッとしてしまいますが、これもフィンランドの伝統的なスイーツです。
 
いろいろなカフェで楽しむことができますが、私がよくこのペストリーをいただくのはヘルシンキ最古、1852年から続く老舗「カフェ・エクベリ(café ekberg)」。伝統的な味が楽しめるクラシックなこちらのカフェ。フィンランドでは大変珍しいテーブルサービスもあるので、私にとってはなんとなく非日常のひとときが過ごせて素敵です。

まるでじゃがいものようなフォルムも、愛されポイント。(ケーキ1個 5,30ユーロ=約¥610)

かつては、茹でたじゃがいもをそのまま練りこんで作っていたという、こちらのスイーツ。現在は、小麦粉に片栗粉を合わせて作られるのが一般的です。ココアパウダーと砂糖がメインのシンプルな生地の中には、香りの良いマジパンが入っています。伝統的には「プンシュ」という北欧伝統のリキュールをたっぷり使ったものが主流だったようですが、「エクベリ」のものはアーモンドの香りのみでやさしい甘さ。懐かしさを覚えるルックスと味わいは、なんだかおはぎのようにも感じてきますが、ゆっくりとコーヒーとともにいただきたくなる、れっきとした洋菓子です。

根菜スイーツが楽しめるのは、カフェだけではありません。ホームパーティーやお友達との集まりに欠かせないポテトチップスは、よく考えれば根菜スイーツの王様。このチップス界にも、新しいバリエーションが浸透しつつあります。

スーパーマーケットのハウスブランドで販売されている根菜チップス。(1,90ユーロ=約¥220)

入っているのは、にんじん、ビーツ、パースニップのチップス。ビーツはチップスになっても色鮮やかで、野菜を食べている満足感が残ります。パースニップは白にんじんとも呼ばれるセリ科の根菜。普段はオーブン料理や煮込み料理で使うことが多いのですが、チップスの軽い食感も違和感なく食べられます。ビタミンCとEが豊富な根菜として知られていることもあり、健康にも良さそう。オーガニックフードや地産地消のトレンドに背中を押され、こうした根菜チップスもこれからどんどん発展していく予感です。
 
太陽の光が、限られた時間しか届かない北欧の人たちにとって、根菜は一年中身近な食材。だからこそ生まれた根菜スイーツは、どれもホッとするやさしい味が魅力です。これから深まる秋に、ゆっくり楽しみます。

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  • café ekberg(カフェ・エクベリ)
    Bulevardi 9,00120 Helsinki
    tel. +358-096-811-860
    営業時間/7:30~19:00 土曜8:30~17:00 日曜9:00~17:00
    http://www.cafeekberg.fi
     
    Papu Cafe(パプ・カフェ)
    Mariankatu 24,00170 Helsinki
    tel. +358-044-239-3943
    営業時間/8:00~20:00 土曜10:00~18:00 日曜11:00~16:00
    http://www.papucafe.fi

  • 歌野嘉子(うたのよしこ)●留学、現地旅行会社勤務を経て、ヘルシンキにてコーディネート事務所を主宰。個人旅行、ウェディング、各種メディアコーディネートのほか、デザインアパートメントホテルを運営。美味しい食事とお酒、美しい器があればほかにはなにも要らない!
    http://www.officeutano.fi

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