ノスタルジックな味わい! フィンランド発の根菜スイーツって?
太陽が輝く夏が終わり、新鮮な野菜やみずみずしいベリーとは、しばしお別れの季節。そんな今こそ出番なのが、定番食材の根菜です。秋のフィンランドは、知られざる根菜スイーツの宝庫。ゆっくりと過ごすお茶タイムに欠かせない、とっておきのおやつをご紹介します。
収穫時期が限定される葉物やベリーと異なり、安定した供給が可能な根菜は、フィンランドの家庭料理にもよく登場します。なかでも、オーブン料理からサラダまで万能選手なのが、にんじん。この国では、にんじんの生食は一般的なため、皮をむいて丸のままポリポリかじって食べる子供や大人をよく見かけます。日本に暮らしていた頃ににんじんがあまり得意でなかった私は、当初この光景に馴染めなかったのですが、あるスイーツに出会ってにんじん全般に対する認識が180℃転換! 今では「にんじんポリポリ」もおいしく食べられるようになりました。
にんじんに対するイメージを覆したスイーツの名は、「ポルッカナカック(porkkanakakku、フィンランド語で『にんじんケーキ』の意)」。元はお隣のスウェーデンから入ってきたケーキですが、現在ではカフェのショーケースで見かけることが非常に多い定番ケーキです。
こちらが、そのケーキ。生地には、シナモンとすりおろしたにんじんがたっぷり練りこんであり、うっすらオレンジ色の模様が見えます。にんじんの香りとシナモンの香りが折り重なって口に広がります。その味わいはもちろん、にんじんの水分が生地に馴染んだしっとりした口当たりもこのケーキの魅力。一見、生クリームで覆われていて非常に甘そうですが、予想を裏切るあっさりとした食べ応えには絶対に驚くはず。クリームチーズベースのクリームは、シナモンとにんじんの個性をまとめ、全体的にまろやかな味に整える役割も果たしてくれます。野菜スイーツの醍醐味でしょうか、食後にはなんとなく野菜自体が好きになっているような……。私の「にんじん革命」はこうして起こったのでした。
にんじんケーキの作り方は非常に簡単なので、おうちスイーツとしても楽しめます。メモ程度ですが、ご紹介しますね。
「ポルッカナカック」
材料(28~30cmのケーキ型 1台分)
・卵 4個
・砂糖 270g
・小麦粉 165g
・重曹 小さじ2
・ベーキングパウダー 小さじ1と1/2
・シナモンパウダー 小さじ2
・バニラシュガー 小さじ1
・にんじん(小~中サイズ) 4本
・サラダ油 90g
A
・クリームチーズ 200g
・粉砂糖 150g
・バニラシュガー 小さじ1
・溶かしバター 50g
作り方
1.室温にした卵と砂糖をボウルで泡立て、すりおろしたにんじんを混ぜる。
2.粉類を1のボウルにふるい入れて混ぜ、サラダ油を加えて混ぜる。生地を型に流す。
3.180℃に予熱したオーブンで45分ほど焼き、粗熱がとれてから型を外す。
4.Aの材料をボウルに入れてよく混ぜ、3のケーキに塗る。
5.好みで砕いたアーモンドなど(分量外)をトッピングし、冷蔵庫で1時間ほど寝かせる。
>>次ページでは、伝統根菜スイーツをご紹介!
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café ekberg(カフェ・エクベリ)
Bulevardi 9,00120 Helsinki
tel. +358-096-811-860
営業時間/7:30~19:00 土曜8:30~17:00 日曜9:00~17:00
http://www.cafeekberg.fi
Papu Cafe(パプ・カフェ)
Mariankatu 24,00170 Helsinki
tel. +358-044-239-3943
営業時間/8:00~20:00 土曜10:00~18:00 日曜11:00~16:00
http://www.papucafe.fi
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歌野嘉子(うたのよしこ)●留学、現地旅行会社勤務を経て、ヘルシンキにてコーディネート事務所を主宰。個人旅行、ウェディング、各種メディアコーディネートのほか、デザインアパートメントホテルを運営。美味しい食事とお酒、美しい器があればほかにはなにも要らない!
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