特集 2015/2/27(金)
世界のおやつ from San Francisco/田丸 紀子

ほっとするママの味「アメリカン・スイーツ」がおいしくなってリバイバル!

サンフランシスコ、ベイエリアでは今、スイーツの“原点回帰”が起きています。チョコチップクッキーやフルーツクランブル、アップルパイなど子供の頃ママが作ってくれたなつかしいお菓子が、地元の新鮮な食材やイマドキに洗練されたパティシエによって、おいしくヘルシーに進化して再評価。そのトレンドをレポート!

サンフランシスコから車で20分ほどの街、リッチモンドにある「Assemble(アッセンブル)」は、クラッシックなアメリカンフードをテーマにしたレストラン。フロリダ生まれのキーライムパイ(写真左上)、ミシシッピ川の水の層をイメージしたと言われるミシシッピマッドパイ(写真右上)、農家のレシピとして広まったという、フルーツの上に細かくしたビスケットをのせたフルーツクランブル(写真左下)など、1940~50年代に広く愛された古き良きアメリカを代表するデザートが人気メニューです。アメリカのスイーツというと、「とにかく甘い、大きい、大雑把」と思われがちですが、それも今は昔。どれも決して甘すぎず、繊細&風味豊か! それもそのはず、レストラン近くにある自家菜園で採れたフルーツやハーブ、地元の新鮮な食材が使われているなど、徹底したこだわりがその理由。

パティシエのカリは以前、映画監督のフランシス・コッポラ氏が経営するレストラン「Rustic(ラスティック)」で働いていたとき、コッポラ監督に頼まれて彼のグランマのメニューを再現。その試行錯誤を通じて、伝統的なデザートがなぜ愛されるのか、どんなレシピが人をほっとさせるやさしい味なのか、と、普遍的なクオリティを追求。その結果、繊細でありながら、何度でも食べたくなる親しみのあるデザートが生まれました。

メニューのみならず、空間デザインも原点回帰。もともとフォードの自動車工場だった建物をリノベした店内には、工場で使っていたタンクやパイプなどがそのまま生かされ、TVモニターからは、こちらも古き良きアメリカのミュージカルが流れるクラッシックな雰囲気。今サンフランシスコをはじめとするベイエリアでは、レストランに限らず、住宅なども古い工場を再利用したり、ヴィンテージのプロダクトをいかしたりと、機能的でミニマルなスタイルがトレンドです。

こちらはサンフランシスコのおしゃれエリア、ミッションにあるクッキー専門店「Anthony’s Cookies(アンソニーズ・クッキー)」。写真のチョコチップクッキーとシナモンスパイスクッキーのほか、クッキー&クリーム、トフィーチップなど7種類のレギュラーメニューと日替わりクッキーが数種類。どれもアメリカのカントリークッキーで、サクサク×しっとりのバランス、甘みとチョコやナッツのコンビネーションが絶妙。サンフランシスコで一番人気とも言われています。

スローフードの聖地カリフォルニア・バークレーで愛されているのもクラッシックなデザート。パイやカントリークッキー、ブラウニーなどを扱う「Sweet Adeline(スウィート・アデライン)」は、朝早くからローカルのお客さんでいっぱい。レモンメレンゲパイ、ブラウニーなどが掲載されたレシピブックも人気。

バークレーでたくさんの外食ビジネスを手がけ、数多くのデザートをリサーチしてきたブランデルさんのお気に入りレシピブックは……82種類のパイを紹介する「The American Pie(ジ アメリカン パイ)」(写真右)、サンフランシスコのヴィーガンレストラン「The Greens(ザ グリーンズ)」の特別メニュー、ピーチ&ブルーベリー・コブラーが掲載された「THE GREENS COOK BOOK(ザ グリーンズ クック ブック)」(写真上)、人気レストラン「NEPENTHE(ネペンテ)」のカントリーケーキが掲載されたレシピブック「my NEPENTHE(マイ ネペンテ)」(写真左)。どれも伝統をベースに進化した、“繰り返し作りたい飽きのこない完璧なレシピ”だそう。やっぱり、時を超えて伝わる伝統は強し!
 
次々と新しいスイーツが生み出されて選択肢が増える一方で、「クラッシック=定番」が見直されているアメリカ。新鮮な食材を使った地産地消やスローフードなど、新しいライフスタイルと結びついてアップデートされ続けるデザートから目が離せません。

  • 田丸 紀子(たまる のりこ)●フリーランスエディター&ライター。アパレルメーカーでの勤務を経て出版社へ。女性ライフスタイル誌、料理雑誌、フードドキュメンタリー書籍などの編集を担当。2013年よりアメリカ・ベイエリア在住。朝食は焼き菓子かアイスクリームが定番。

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