特集 2015/3/27(金)
【レポート】パリ国際農業見本市 2015

パリ発! フランスの食が一堂に会する、話題のイベントに潜入!

エルブロガーとしても活躍している藤井 綾さんが、2015年2月21日から3月1日まで開催された「パリ国際農業見本市~Salon international de l’agriculture~」をレポート! フランス国内外の生産者と家畜が広大な展示場に集まるヨーロッパ最大規模の農業見本市は、大人も子どもも楽しめる一大イベント。フランス各地のおいしいものを一日でたくさん試食したり購入したりできるので、グルメなフランス人にとって毎年大人気。今年の来場者数は69万人で、過去最高を記録した昨年(70万人)には及ばなかったものの、かなりの大盛況だったそう。今年はもう終わってしまったけれど、来年パリに旅行を考えているなら、2月末の農業市をねらってみてはいかが?

ペリゴール産の「くるみオイル」(写真左)、生産者本人が説明をしてくれるセップナード売場(写真右上)、「セップナード」(写真右下)。

調味料からスーパーフードまで! 
フランス各地方で見つけた、魅力的な食材をハント
 
ひとつ目は、フランス南西部アキテーヌ地方のペリゴール産くるみオイル(写真左)。これは、この地方で収穫したくるみをコールドプレス製法で搾った高品質のオイルです。日本でもくるみオイルは手に入るのですが、ここで味見したオイルの香りのよさには驚きました。楽しげに説明をしてくれる陽気な生産者に「まずは鼻で味わってみて」と言われ、オイルを鼻に近づけてみると、香ばしくて心地よいこと! そのあと口の中で味わうと、くるみオイルの奥行きのあるうま味が感じられます。野菜やフレッシュチーズにかけるだけで、ごちそうになりそうな贅沢なオイル。うれしい発見でした。
 
次は、写真右上のオーヴェルニュ地方のブースへ。フランス中南部の山に囲まれたこの地方は、おいしい食材の宝庫! ミネラルウォーター「ヴォルヴィック」の採水地があることでも有名です。ここで見つけたのが、写真右下「セップナード」という商品。セップ茸(イタリアで言うポルチーニ)をメインに使ったペーストです。南仏で有名なオリーブのペースト「タプナード」は日本でも手に入りますが、このセップナードはあまり見たことがないいのでは? さっそく試食させてもらいました。セップ茸は香りが強いので調理方法には気を使いますが、この商品はセップ茸のうま味と香りが絶妙なバランスで凝縮されていて、とてもおいしい。

ピカルディ地方のブース(写真左)と、オワーズ県の「キヌア」(写真右)。

フランス北部のピカルディ地方のブースで見つけたのは、なんと日本でも話題のスーパーフード「キヌア」! キヌアは、ほとんどが南米で栽培されていると聞いたので、フランス国内産のキヌアがあることに驚き。ゆでたキヌアにオリーブオイルとほんの少量のしょうゆで和えたものがテイスティングで出されていました。試食してみると、日本で食べていた南米産キヌアよりも味が濃く、ぷりっとした食感でとっても美味。産地によってキヌアにも味の差が出てくるようです。フランスの食文化にしょうゆがすかり定着していることにも感心しました。

「エスプレット唐辛子」(写真左)、レトルトの「シュークルート」は、おいしいソーセージとスモークされた豚肉、ザワークラウトが見えないくらいのボリューム(写真右)!

スペイン国境に近いアキテーヌ地方で見つけたのは、バスク料理でよく使われる香辛料「エスプレット唐辛子」(写真左)。日本でも手に入るのですが、高価な唐辛子なので、今回の農業市で購入しようと決めていた食材でした。このエスプレット唐辛子は、バスク地方でこしょうの代わりとしても使われています。また、鶏肉をトマトとパプリカで煮込むカフェ料理の定番「鶏肉のバスク煮」にも、このエスプレット唐辛子が欠かせません。エスプレット唐辛子は、通常パウダー状で売られているのが一般的ですが、農業市ではピュレ状になったタイプもありました。原材料はエスプレット唐辛子100%で、ステーキや焼き肉などお肉料理のトッピングにしてもおいしいので、おすすめです。
 
アルザス地方のブースでは、レトルト食材の販売があったので、ご当地料理の「シュークルート」を購入。家に帰って電子レンジで温め直すだけで、まさに本場のシュークルートが味わえて幸せ! ストラスブールで食べたシュークルートを思い出す本格的な味わいで、レトルトとは思えない驚きのクオリティ。

「塩バターキャラメルクリーム」(写真左上)、チョコレートやマシュマロのスタンド(写真左下)、アルザス地方のお菓子「パン・デピス」(写真右)。

特産品のクレープで大盛り上がりなのは、ブルターニュ地方のブース。クレープには、市販のチョコ風味ペーストを塗るのがパリジャンの定番ですが、ここでは、ブルターニュ地方特産の塩バターキャラメルを塗ったクレープがパリジャンたちの心をわしづかみに。この農業市で見つけた「Crème de caramel au beurre salé(塩バターキャラメルクリーム)」(写真左上)はとってもクリーミーで柔らかく、クレープやパンに塗るのにちょうどよいテクスチャー。濃厚でリッチな味わいです。ほかにも、ヌガーやパン・デピス、チョコレート、ビスケット、マドレーヌなど各地方特産の郷土菓子もたくさんあって、目移り必至です。
 
たくさんの「おいしい」がぎゅっと詰まった農業見本市は、フランス各地の食の特色を一度に見て味わうことができる、フランス食材ファンには垂涎もののイベント。“フランスは農業大国”とよくいわれますが、まさにそれを実感できる象徴的なイベントです。熱心に自分の生産品を説明する方々や、できる限り試食をしようとする来場者を見ていると、フランス人の食への情熱を感じずにはいられません。また、生産者はもちろん来場者もフランス各地方から集まり、短時間でいろいろな地方を体験できるので、まるで国内旅行をしているかのような気分。この時期にパリ滞在をご予定なら、ぜひぜひ訪れてみて!

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photo & text : Aya Fujii

  • Salon Internatinal de l’Agriculture(パリ国際農業見本市 )
    Paris Porte de Versailles 1, place de la Porte de Versailles75015 Paris
    開催期間/2015年2月21日(土)~3月1日(日)(2016年のスケジュールは、2月27日(土)~3月6日(日)だそう)
    開催時間/9:00~19:00(水曜、木曜は、~20:00)
    料金/一般 13ユーロ、学生 6ユーロ、子供(6歳~12歳) 6ユーロ、6歳以下 無料

  • 藤井 綾●2002年から2011年までパリ滞在。パリ大学にて美術史を勉強し卒業した後、パリルーブル学院(Ecole du Louvre)に編入。2011年9月に東京に完全帰国。2013年9月に「フランスをテーブルに」をコンセプトとした、FUJII LABEL(フジイラベル)を設立。
    Instagram:@fujii_label @une_tartine
    blog:http://blogs.elle.co.jp/parisgohan/
    http://fujii-label.com/

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