正体はあの山菜! 春のニューヨークに吹き荒れる、“ランプの狂乱”って?
毎年春になるとニューヨークに吹き荒れる“ランプの狂乱”をご存知? ランプを求めてハンターは山を歩き、ときにはランプをめぐって悪しき事件まで!? 日本でもなじみのある、ニューヨーカーを夢中にさせる“ランプ”とは一体?
ニューヨーカーにこよなく愛される“ランプ”とは、いわゆる「行者にんにく」のこと。地味な存在と思うかもしれないけれど、4月下旬から5月にかけて近郊農家が出店するファーマーズ・マーケットにランプが並び始めると、どのブースでも大きなサインが登場し、メディアは「ランプのシーズンがやってきた!」という記事でこの時期を盛り上げる。そしてシェフもしかり。SNS上に喜々としてランプを使った料理をアップし、ニューヨークに春の訪れを告げるランプフィーバーが巻き起こるのだ。
そもそもなぜこんなに人気が白熱するのかというと、それはランプがとっても貴重な食材だから。「ワイルド・リーク」という別名のとおり、ランプは山間部に自生する“山菜”。シーズンは1年のうちわずか数週間、しかも成長するまでに4年もかかるとか(!)。多くのシェフはランプを「forager(山を歩いて食材をハントする専門家)」から仕入れていて、そうしたフォレジャーたちは自分だけが知る“縄張り”があり、ランプの出どころを決して明かさないそう。競争が激化するあまり、乱獲も問題となっているのも事実。この春、ブルックリンの植物園で実験的に育てられていたランプが根こそぎ持ち去られるという珍事というか悪しき事件まで発生。ランプ人気の白熱っぷりもここまで……と、呆れてしまうほど。
>>シェフはどう料理する? 気になるランプのお味は……
photo & text : Yumi Komatsu
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●Yumi Komatsu
N.Y.を拠点に、弊誌をはじめとした日本のライフスタイル誌やファッション誌などでライターとして活躍。