マイク・ミルズの自伝的作品『20センチュリー・ウーマン』ほか6月第一週のコレ観なきゃウィークエンド
毎週たくさんの新作映画が劇場公開されるなかで、私たちが本当に観るべきものって？ 女性の知的好奇心を満たす、いま観るべき作品をエルが週替わりでセレクトし、ご紹介。今週末は注目のキャストがそろい踏みの3作をレコメンド。
6月3日（土）公開 『20センチュリー・ウーマン』
『人生はビギナーズ』でゲイの父親との交流を映画化したマイク・ミルズ監督が今度は実の母親をテーマにし、アカデミー賞脚本賞にノミネートされた感動ドラマ。シングルマザーのドロシアはシングルマザーとして、ティーンエイジャーの息子ジェイミーの教育に悩んでいた。彼女はルームシェアしているパンクな写真家アビーと、ジェイミーが恋い焦がれる大人っぽい彼の親友ジュリーに思いがけない願いを申し出る。アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグが世代の違う女性を魅力的に演じ、それぞれの女性ならではの迷いや悩みまでも生き生きと浮き彫りにする。女性ならでは、母親ならではの愛し方でジェイミーの成長を見守る彼女たちが実に素晴らしい。
監督／マイク・ミルズ
キャスト／アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグ、ルーカス・ジェイド・ズマン、ビリー・クラダップほか
6月3日公開
http://www.20cw.net/
6月3日（土）公開 『ザ・ダンサー』
19世紀末。誰も見たことのない唯一のダンスで、観客を熱狂させたロイ・フラー。ロートレック、ロダン、コクトーのミューズであり、「シルクと光のダンス」を生み出したモダンダンスの先駆者でもある。アメリカで生まれ育った彼女は、夢をかなえるためパリに渡った。当時としては画期的な彼女の人生を写真家のステファニー・ディ・ジューストが伝記を基に映画化。すべての情熱をダンスに注ぐ孤高の主人公ロイ・フラー役にはマドンナに絶賛されたミュージシャンで女優のソーコ。また、ロイ・フラーを魅了し、彼女に影響を与える天才ダンサー、イサベラ・ダンカンをリリー＝ローズ・デップが圧倒的な存在感で演じ、みごとな対をなしている。帽を使って蝶のように舞うダンスをドレスの分量や光の角度など細部にわたって計算された演出で見せる華麗なステージは再現したシーンでも夢のような美しさ。
監督／ステファニー・ディ・ジュースト
キャスト／ソーコ、ギャスパー・ウリエル、リリー＝ローズ・デップ、メラニー・ティエリー、フランソワ・ダミアンほか
6月3日公開
http://www.thedancer.jp/
6月3日（土）公開『海辺のリア』
かつて大スターだった、俳優・桑畑兆吉。認知症の疑いのある彼は、いまや家族に見放され、ただ一人、海辺へと向かう。そこで出会った女性はかつて彼が見捨てた、愛人との間に生まれた娘だった。彼は彼女に「リア王」のコーディリアの姿を重ね合わせ、誰もいない海辺で、台詞を諳んじるのだった。小林政広監督と三度目のタッグを組んだ仲代達矢が８０代とは思えない力強い演技と圧倒的な迫力で、主人公を演じ切る。彼を愛しても愛されなかった不幸な娘を黒木華、父を操り、彼女を遠ざけた長女を原田美枝子、迷いながらも妻に翻弄される長女の夫に阿部寛、謎めいた運転手に小林薫と演技派たちが勢ぞろいし、「リア王」を思わせる現代のドラマをスリリングに盛り上げる。
監督・脚本／小林政広
キャスト／仲代達矢、黒木華、原田美枝子、小林薫ほか
6月3日公開
http://www.umibenolear.com/
Text: Aki Takayama
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