“悲劇の天才美少年作家”J.T.リロイが巻き起こしたスキャンダルを映画化
ガス・ヴァン・サントが『エレファント』の脚本を依頼したと言われる美少年作家、J.T.リロイ。女装の男娼という過去をもつ謎の天才作家が1996年、彗星の如く文壇に現れた! しかし、この天才美少年作家が存在すらしていなかったなら……。
母親に男娼をさせられていた少年が、回顧録として著書を出版。タイトルは『サラ、神に背いた少年』。実の母親に壮絶な虐待を受け、殺されかけたところを助け出され、里親のもとで痛みを吐きだそうとするかのようにペンを取り始めた……。
彼の人生を読んだ人々はショックを受け、感動し、メディアは“天才美少年作家”ともちあげ、当時のファッション業界人ともパーティで交流、来日まで果たす。監督ガス・ヴァン・サントは彼の才能に目をつけ『エレファント』の脚本執筆を依頼したというほど。それだけでは終わらず、女優で監督のアーシア・アルジェントは彼の著書『サラ、いつわりの祈り』を映画化、カンヌ映画祭で上映するまでに。
ところが全世界の出版社が彼の著作で大儲けした後の2006年、この美少年が実在せず、“自伝”を書いたのは“保護者”としていつも彼の横にいる女性であることを、新聞「ニューヨーク・タイムス」が暴露したからさあ大変。見事に騙された、もしくは騙されているとわかっていても持ち上げた多くのメディアによる、自己弁護のごとき暴露合戦がスタート! 過熱すればするほど、さらに驚きの嘘が次々に判明して……。
売れるためなら何をしてもいいのか? 嘘を嘘のまま垂れ流すメディアに存在意義はあるのか? 隣の人の口コミを信用してもいいのか? 嘘だとしても小説として価値は低いのか?
いま考えるべき問題を次々に叩きつけてくるこのドキュメンタリーを見れば、きっとこれから目にする情報の処理の仕方も変わってくるはず。
一連の物語はハリウッドスター総出演で映画化する話が持ち上がっていると映画情報サイト「IMDb」に掲載されている。そういう点でもいち早くチェックしておいて損はなさそう。
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映画『作家、本当のJ.T.リロイ』
監督:ジェフ・フォイヤージーク(『悪魔とダニエル・ジョンストン』)
撮影監督:リチャード・ヘンケルズ
音楽:ウォルター・ワーゾワ
出演:ローラ・アルバート、ブルース・ベンダーソン、デニス・クーパー、ウィノナ・ライダー、アイラ・シルバーバーグ ほか
2017年4月8日(土)より、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開公式サイト http://www.uplink.co.jp/jtleroy/
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