【Vol.3】女性を活かす職場の作り方
働く女性を応援するイベント、「エル・ウーマン・イン・ソサエティ」。盛況のうちに終了した同イベントに登壇した女性リーダーたちに、女性が働きやすい職場づくりについて訊ねる連載が進行中! 第3回目は「トリップアドバイザー」を訪問。企業のモットーである“家庭第一”の精神に基づき家に戻った原田静織代表取締役に代わり、大津陽子シニアマネージャーがオフィスについて解説。社員のパフォーマンスを支える視覚的楽しさとは?
企業にとって大切な職場の“視覚的楽しさ”
―移転されたばかりの新オフィスだそうですが、以前と改善したところはありますか?
ずいぶん違いますね。以前はこぢんまりしていてもIT設備は整っていたのですが、インターネット接続の環境ひとつとってもだいぶバージョンアップしました。
接続の速さだけで時間の有効活用に変化がおきていると思います。あとはビデオ会議が多いのですが、デスクが近いと周囲に声が響いてしまっていたので、今はどんな国の人とやりとりをしていても気兼ねなくできます。以前は会議室が3つしかなく、現在は7つ。それぞれ「フジ」「サクラ」「ニンジャ」「ワサビ」「ユズ」など日本独特の名前がついています。よく国名でつけている会社さんはいらっしゃいますが、海外から人が来たときに、誰でもが日本ならではのものだとわかるような名前にしたんです。「トリップアドバイザー」は(世界各国のオフィスで)会議室の名前にもテーマを設けています。(旅行の)デスティネーションの名前にしている国もあります。旅行は楽しいものです。旅は人生の喜び。それが社の立ち位置なのです。エントランスに車も置いてありますが、それも「(オフィスの)視覚的楽しさも企業のイメージづくりとして大切」だと考えているからです。
とにかく家に帰る社員たち
―「トリップアドバイザー」で「ここが女性に優しい」と胸を張れる部分をもう少し教えていただけますか?
ファンクショナルなところでしょうか。子どもがいても、家から仕事ができる「Work from Home(ワーク・フロム・ホーム)」という働き方も認められています。
話を元に戻すと、家に居ざるをえないときってありますよね。子どもの病気などの理由でなくても。そんなときWFHがとても助かります。ITで繋がっているからこそできることですが……。
―そういう場合大事なのは、家に帰って仕事をした部分を、企業が“労働”として認められるかどうかだと思うのですが? そこが多くの企業にとって、在宅作業を受け入れる際のネックになっていると思います。
私たちの会社の“仕事”は“時間”ではありません。タイムカードすらありません。ゴールがあって、それをどう達成していくかという結果の問題であり、仕事はそこで測られるので。
しかし、やはり皆がオフィスにいると家での仕事は気が引けてしまうものです。そこを「トリップアドバイザー」では、19時、20時までいると「あ、私、今日遅い!」と思えてしまう。そんな環境があって初めて実現できているのだと思います。それでも日本オフィスは遅いほうで、シンガポールの「トリップアドバイザー」などは17:30くらいから「そろそろハッピーアワーなので、じゃあ飲みに行こう」とオフィスから出て行ってしまうんですよ(笑)。それで成立しているのです。その分、集中力がものすごくあって、すごい速さで仕事を片づけていきます。ランチ時間もタイトですね。
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大津陽子/ トリップアドバイザー株式会社 ディスプレイセールスシニアマネージャー
京都大学大学院修了後、電通西日本に入社。マーケティングプランニングに従事した後、Google でディスプレイネットワーク広告の販売戦略企画に携わる。その後、トヨタ等の日本の大手広告主をアカウントプランナーとして担当。2013年にトリップアドバイザーのディスプレイ広告の日本立ち上げのため入社。日本国内外の広告主開拓とサービス開発を行っている。