音楽で発信! トランプ政権に真っ向から立ち向かうヒップホップ楽曲7選
大接戦の末、アメリカ大統領の座を手にしたドナルド・トランプ。政権発足後も今なおセレブからの批判が絶えない彼の過剰なキャラクターは音楽シーンでよくターゲットになるのはご存知の通り。特にポリティカルなメッセージを含むことが多いラップやヒップホップシーンでは、大量のアンチ・トランプ・ソングが登場。曲を通して見えるアメリカの現在とは……?
2016年に、米大統領選挙キャンペーンが本格化したとき――特に共和党代表がドナルド・トランプへ決定したころからヒップホップ・シーンではアンチ・トランプのムードが加速。そもそも、自分の主張を包み隠さず自由にリリックに乗せて歌うのが、ヒップホップの美徳のひとつ。加えて、肌の色や宗教、性別、生まれた国によって人々を区別するような発言が多く見受けられるトランプに、ヒップホップ・アーティストたちが強い嫌悪感を表したのは、非常に納得がいく動きだ。選挙前からラッパーのYGが強烈なバッシング曲を発表して全米をツアーして廻り、エミネムも長いスピーチ調の楽曲を発表するなどの動きを見せながら、結局、我々に知らされたのはトランプ勝利の報せ。
そこで、いよいよやってきた混乱のトランプ時代を象徴するヒップホップ楽曲を7つピックアップ。今回紹介するのはアフリカン・アメリカンとしての行き場のない憤りや不安感を表したものばかり。ただ、トランプ政権発足を足掛かりにして、若いラッパーたちも政治や自身のアイデンティティ、そして多様性を認めることの大切さを見つめ直すきっかけにもなっているのでは? これまでにも人種をめぐるアイデンティティに悩まされていたロジックや、ティーンエイジながらインパクトの強いミュージックビデオを発表したコダック・ブラックらはその一例。映像も交えた彼らの主張に触れて、彼らがどんな心境にいるのか、感じてみて。
text: Shiho Watanabe (BlackRiverMobb)
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渡辺志保/1984年広島市生まれ。音楽批評家、歌詞対訳、ラジオMCや司会業も行う。現在はレギュラーで、block.fm「INSIDE OUT」MCを務める他、共著『ディスク・コレクション ヒップホップ 2001-2010』(シンコーミュージック)が発売中。twitter: @shiho_wk