特集 2017/5/10(水)
早耳調査隊がゆく

告発の行方。華やかなモデルたちが直面するパリコレのブラックな現実

80年代のスーパーモデルの誕生以降、そして現在のSNSを中心としたモデル大ブームが続くなか、業界の暗黙のルールはなかなか変わってこなかった。そんなブラックな労働環境について、ついに大物現役キャスティングディレクターが告発したことで、変化の兆しを見せている……。この一連の騒動の詳細を解説!

※写真のキャスティングシーンと内容は関係ありません

Photo : Getty Images

人間以下のプロップ(撮影小道具)のように扱われることは、新人からベテランまで、モデルならよく体験すること。だからこそモデル組合が作られ、CFDAがファッションウィークにモデルたちの健康を守るためのガイドラインを発表することになった。けれど、ファッション業界で影響力をもつ現役のインサイダーがこうした業界の闇を告発することは極めて稀だ。というのも、彼らはブランドに“雇われている”立場のため騒いだら、自分たちがクビになったり、広告出稿を止められたり、圧力をかけられるかもしれない……と斟酌してしまってきたから。
 
しかし、結果は反対だった。名指しされたブランドはスカリーの投稿後しばし沈黙を守っていたが、冒頭の150人以上のモデルたちを真っ暗闇のなか3時間待たせた2人のキャスティングディレクターを雇っていたメゾンはすぐに対応。彼らが所属するキャスティングエージェンシーとの契約を即刻解除したのだ。さらに各モデルエージェンシーに書面で謝罪したうえ、こういった事件の再発を全力で阻止するとの声明を発表した。つまり、問題点を指摘した人間に圧力をかけるのではないかと見られていたブランド側は、実は忖度していた業界関係者以上に先進していて、より良心的な姿勢を示したのだ。
 
ビッグメゾンがこのような対応をした以上、おそらくこの先良心的な有名ブランドが彼らを雇うことはないだろう。見事、ブランドの名前を笠に着てモラルハザードを起こしていた人間が裁かれたのだ。その後、スカリーはインスタグラムで新たな投稿を発信した。 

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Text : Ryoko Tsukada

  • Photo : Getty Images

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