クリッシー・テイゲン、フィギュアスケートの長洲未来選手への炎上「移民」ツイートに反論
平昌オリンピックでトリプルアクセルを成功させた、アメリカのフィギュアスケート代表、長洲未来選手。日本人の両親を持つ彼女に対するある記者のコメントをクリッシー・テイゲンが批判している。
きっかけになったのは新聞「ニューヨークタイムズ」の記者、バリ・ウェイスのツイート。長洲未来選手がフィギュア団体フリーの演技でトリプルアクセルを決めた後「移民たち、彼らがやるべきことをやった」とツイートした。
これに対して「移民に対する差別」という声や「そもそも長洲未来選手は移民じゃない」という指摘が殺到。ウェイスはツイートを削除したけれど、その後釈明のツイートをアップ。「文明の終わりを示すサインがまだ必要? 私は長洲未来のトリプルアクセルの動画に『移民たち、私たちはやるべきことをやった』とツイートしただけ。これはミュージカル『ハミルトン』からとった言葉よ。私は彼女がカリフォルニアで生まれたことを知ってる。移民なのは彼女の両親。私は彼女と両親を祝福したの」「このツイートをしたことで私は人種差別主義者で残酷で、死に値すると言われている。だからツイートは削除したわ。これが今の私たちの状況よ」。ツイートは移民差別ではなく、批判は過剰な反応だというのがウェイスの言い分。
Do you need another sign of civilization's end? Here's one: I tweeted "Immigrants: we get the job done" with a video of Mirai Nagasu's triple axel. The line is a Hamilton reference. I know she was born in Cali. Her parents are immigrants. I was celebrating her and them. (1/2)
— Bari Weiss (@bariweiss) 2018年2月12日
For this tweet I am being told I am a racist, a ghoul and that I deserve to die. So I deleted the tweet. That's where we are.
— Bari Weiss (@bariweiss) 2018年2月12日
でもこれにモデルのクリッシー・テイゲンが、問題はそこじゃないとばかりに反論! クリッシー自身も母親がタイ出身のアジア系アメリカ人。「これは永遠に続く、出生を理由にしたOtherism(あくまで“よそ者”として哀れんだり称賛したりする精神)、もしくは永遠に続く外国人シンドロームと言える。誰も『移民』という言葉を恥じる必要はない。でも、いつまでも外国人として扱われるのはうんざり。あなたは間違いを犯した。それは問題ないわ。でもみんながあなたに対して、冷静かつ素晴らしい意見を与えてくれている。そこから学んで、深呼吸しなさい。そうすれば大丈夫」。さらに「あなたは『私たち』ではなくて『彼ら』と言っていたわ。でもそれも大丈夫」と、冷静に指摘している。
It’s called perpetual otherism or perpetual foreigner syndrome. No one is ashamed of the word immigrant but it’s tiring being treated as foreigners all the time. You made a mistake. It’s okay. But people are really giving you calm, great insight. Just learn and breathe. All good. https://t.co/DmvdvBpG9Z
— christine teigen (@chrissyteigen) 2018年2月13日
クリッシーが指摘する通り、アジア系アメリカ人が永遠に「外国人」として見られているのがアメリカの現実。たとえ長洲未来選手のようにアメリカで生まれていても、どんなにアメリカに長く暮らしていてもアメリカ人ではなく「移民」「外国人」として見られてしまうということ。裏を返せばネイサン・チェンやシブタニ兄妹などアメリカ代表フィギュアスケーターがアメリカで認められるのがどれほど難しかったかということの証明でもある。Also you said they, not we. But it’s okay.
— christine teigen (@chrissyteigen) 2018年2月13日
ちなみに現在アメリカでは、移民や外国人に対するヘイト犯罪が増えている。2015年にはアジア系アメリカ人に対するヘイト犯罪が3倍になったという。専門家はドナルド・トランプ大統領が選挙運動中に「中国はアメリカの敵」と発言したことがきっかけだ分析している。
世界的なイベントだからこそ、それぞれの国際感覚が露わになるオリンピック。来週は女子シングルの試合が行われる。フィギュアスケートのファンは選手や自分の国籍に関係なく、あらゆる国の選手をお気に入りにすることで知られている。すべての選手の健闘を応援したい。
text: Yoko Nagasaka